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「眉村卓追悼特集」(SFマガジン)が切なくて、切なくて…。

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昨日の退勤後。

僕は、発売になったばかりの「SFマガジン」をゲットするべく、都内の大手書店に駆け込んだ。

そして、言葉を失った。

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SFマガジン2020年04月号

あぁ、眉村卓先生…。

表紙に掲載された、物憂げなその瞳を見ていたら、僕はとても切なくなってしまった。

僕が子供の頃から好きだった先生のイメージとは、かなり異なるものだったからである。

僕が長い間抱いていた、眉村先生のイメージは、表紙をめくると現れる、この写真だ。

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何とも優しい、人懐っこそうな表情。

クマゴローという愛称で、ラジオのパーソナリティも務められており、その人柄は、温もりのあるエッセイにも繋がっていた。

「おしゃべり迷路」「でたとこまかせ ON AIR」といったエッセイ集には、かなりのめりこんで、貪り読んだことを思い出す。

もちろん、小説も読んだ。

僕が最初に嵌まったのは、「ジュブナイルSF」と呼ばれる、子供向けのSF小説で、「なぞの転校生」「ねらわれた学園」、そして「まぼろしのペンフレンド」などなど、手当たり次第に読みまくった。

これらのジュブナイルSFは、ドラマ化、映画化されたこともあるので、ご存じの方も多いのではないかと思う。

現状は、講談社にて刊行されているようだけれど、僕が読んだのは、角川文庫や、(今は亡き)秋元文庫版だった。

眉村先生は、ショートショートの名手でもある。

末期がんを宣告された妻のために、1日1話、病床の妻にあてて、5年間もの間ショートショートを書き続けた話は、有名だ。

妻に捧げた1778話 (新潮新書)

妻に捧げた1778話 (新潮新書)

  • 作者:眉村 卓
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/05/16
  • メディア: 新書
 

その逸話について綴ったこのエッセイ集は、近年、カズレーザーが絶賛し、ベストセラーにもなった。 

眉村卓先生の素晴らしさは、もちろん、それだけじゃない。

短篇や長編、特に、代表作と言える「司政官」シリーズは、SFマガジンの《看板》として、君臨し続けた。

恥ずかしいかな、僕は、未読のものが多いのだけれど、今後、じっくり読み進めていこうと思う。

今回の「SFマガジン」における追悼特集は、そんな眉村先生の素晴らしさが、存分に堪能できる内容となっている。

【作品再録】
・中篇《司政官シリーズ》「照り返しの丘」
・ショートショート再録1「くり返し」
・ショートショート再録2「浜近くの町で」
・講演〔「SF」から「私ファンタジー」へ〕
・短篇「夜風の記憶」
・ショートショート再録3「詰碁」
・ショートショート再録4「最終回」

【Essays&Article】
・追悼メッセージ 筒井康隆/谷 甲州/田中啓文/日下三蔵/池田真依子/村上知子
・眉村卓作品ガイド 日下三蔵/山岸真/高井信/大橋博之
・作品リスト 日下三蔵=編
・特集解説 日下三蔵
・メモリアルギャラリー

司政官シリーズの中編再録、短篇、ショートショート、講演録。

筒井康隆先生を初めとした、眉村先生と馴染みの深い方々からの追悼メッセージ、詳細な作品ガイド、作品リスト。そして、写真満載のメモリアルギャラリー。

日下三蔵氏による、渾身の特集内容だ。

眉村卓先生のファンはもちろん、SFファンであれば、絶対に持っておきたい保存版と言える。

特集の中で、筒井康隆先生が眉村先生に贈った追悼文を読んだら、僕は、ちょっと泣けてきてしまった。

筒井先生が書かれた「タック健在なりや」(ショートショート集「笑うな」に収録)の「タック」というのは、眉村先生のことだったのか…。*1

僕は、筒井先生も眉村先生も大好きで、この小説も何度も読んだのに、そのことをこれまで知らずに生きてきた。 

だから尚更、衝撃が大きく、筒井先生の言葉が心に響いた。

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 読み直したら、また、ちょっと泣けてきた。

hro146 邦画プログラム「ねらわれた学園」薬師丸ひろ子

hro146 邦画プログラム「ねらわれた学園」薬師丸ひろ子

 

 

*1:この小説の主人公の名前《ヤッシャ・ツッチーニ》は、《筒井康隆》という名前をもじったもの。そして、そのライバルとして描かれるタックというのは、眉村卓先生のこと。


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