昨日、9月19日発売。
残業後、大手書店に駆けつけてゲット。書店では、新刊平台にドカンと並んでいたから、すぐに見つかった。
筒井康隆、自作を語る
いやぁ、何という格好いい表紙だろう。
僕は、発見した途端に、仕事の疲れが吹き飛ぶのを感じたほど。
僕が子どもの頃から焦がれ続け、新刊が出るたびに貪り読み続けた、筒井康隆先生の最新刊。興奮せずにいられるものか。
この秋は、ツツイストにとって、歓喜の新刊ラッシュ&イベント続きなのだけれど、その皮切りにふさわしい本だ。
ツツイストなら、誰でもノータイムでゲットする「べき」本だから、僕の駄文レビューなどは、どう考えても蛇足。
しかし、それでも、やっぱり興奮を抑えきれないので、今日は、エントリーを書いて落ち着くことにしたいと思う。
以下、その素晴らしい点を、つらつらとご紹介させていただく。
とにかく格好いい表紙写真
筒井先生の格好良さは、書店の平台においても輝きを放っていたが、本の腰に巻かれたオビを外してみると、それがさらに増幅した。
風格溢れるダンディな姿に惚れ惚れする。
イベントの興奮が甦る!
この本の第一部は、トークイベントの書き起こし。
その内容は、全8回にわけて、SFマガジン誌にも連載されていたが、まとめて読むと、あらためて、イベント時の感動、興奮が甦ってくる。
僕は、その全てに出席したからだ。
第1回。2014年秋。「日本SFの幼年期を語ろう」
第2回。2015年秋。『欠陥大百科』『発作的作品群』の時代。
第3回。2016年初夏。「虚人たち」「虚航船団」の時代。
第4回。2017年秋。《筒井康隆コレクション》完結記念。
どれもこれもが、本当に素晴らしかったことを思い出す。僕にとって、一生忘れられない、最高のイベントだった。
この本には、そんなイベントで、筒井先生の話された内容が、たっぷりと詰まっている。
貴重な「ニッポンSF史」も満載
トークイベントは、もちろん、筒井先生の著作を中心に語られたのだけれど、それとともに、先生をとりまいていた、SF史も知ることができる。
この本は、日本SF史を知る上でも、とても貴重な内容が詰まっているのだ。
トークの内容に合わせた時代の広告なども、そのまま掲載されている。
僕のような、オールドSFファンにとっては、そのラインナップを眺めているだけでも心が躍ってしまう。
短編集の自作解題も!
トークイベントのインタビュアーは、この本の編者でもある日下三蔵氏。
そんな日下氏による本だからこそ、第二部もまた、光っていた。
その内容は、2002年に発刊された、筒井先生自選短編集の巻末インタビューをまとめたもの。
インタビュアーは、他ならぬ日下氏だ。
今回は、その再録という形になるが、原本は残念ながら絶版になってしまっているから、大きな価値がある。
僕はもちろん、今でも全て持っているが、6冊分のインタビューをまとめて読めるのは素晴らしい。
また、第一部のトークイベントでは、長編を中心に語られているため、それを補完するようになっている構成も見事。
圧巻すぎる「筒井康隆全著作リスト」
巻末には、筒井康隆先生の全著作リストが掲載。
なんと、全46ページにも及ぶ、圧巻の内容になっている。
全著作の、全刊行形態別刊行年月日*1、短編集やエッセイ集に含まれる収録作品の内容も網羅。
最新刊(この本)まで含め、完璧な内容になっている。
まさに永久保存版で、この著作リストだけでも、購入する価値がある。
短編集収録の作品まで、細かく掲載されているので、第一部・第二部を読み直すときにも、非常に参考になる。
結論。全ツツイスト必携必読!
トークイベントの採録では、筒井先生の著作史のみならず、日本SF史を俯瞰することもできる。
名作短編たちを、先生が自ら解題する第二部にも、貴重な逸話が満載。
これらを読んでいると、また、筒井先生の著作を読み直したくなることは必定だ。
もしも入手できていない本があっても大丈夫。巻末の完璧なリストで調べて、探しだせばいい。
全ツツイスト、必携必読の一冊。超オススメ。
*1:初回の単行本発売日に加え、文庫本、再編集本なども全て掲載。文庫が各社から出ている場合は、それぞれの刊行年月日を表示