勝負事は、下駄を履くまでわからない。
駅伝は、シューズを脱ぐまでわからない。
そんな気がした、今年の箱根駅伝。
9区。鶴見中継所。
箱根駅伝のブロンズ像があるこの場所で、最初に襷を繋いだのは、創価大だった。(この写真は、2019年観戦時のもの)
2位を走る駒澤大学は、それから遅れること3分19秒で襷リレー。
普通に考えれば、創価大完勝の筈だった。
近所をダラダラ走りながら聞き流していたラジオ中継でも、解説者から、「セーフティリードだろう」という声が出ていた。
実績的には、駒澤大の石川拓慎選手の方が上。
ただ、3分19秒という差はあまりに大きく、小野寺勇樹選手が《普通に》走れば、抜かれることはないという見立てだ。
しかし。
10区には魔物が潜んでいた。
駒澤大が、中間ポイント毎に、創価大との差をぐんぐん縮めていく。
- 鶴見中継所:3分19秒差
- 蒲田(5.9km地点):2分45秒差
- 新八ツ山橋(13.3km地点):1分57秒差
- 田町(16.5km地点):1分17秒差
- 御成門(18.1km地点):47秒差
いやはや何とも、凄まじい追い上げだ。
僕は、田町あたりの状況で、「逆転があり得るかも」という解説者の声を聞き、これは、絶対に映像で見なければ!と思い、慌てて帰宅。
すぐにテレビをつけた。
- 馬場先門(20.1km地点):15秒差
僕が帰宅した時には、もう、馬場先門を過ぎており、両選手の姿が一つの画面で捉えられる状態。
そして。
21km地点寸前。ドラマが起きた。
逆転!
ここからはもう、勢いが違った。
駒澤大の石川拓慎選手は、みるみるうちに引き離し、そのまま…。
フィニッシュ!
駒澤大学、13年ぶり7回目の優勝だ。
これは、後で知ったことなのだけれど、駒澤大学10区の石川拓慎選手が区間賞の走りを見せたのに対し、創価大学10区の小野寺勇樹選手は、区間最下位。
ならば確かに、この大逆転は納得できる結果だ。
しかし。なぜこんなことになってしまったのだろう。
僕は考える。
これが、箱根駅伝優勝(しかも初優勝)にかかる重圧だったのかもしれない、と。
創価大学は、今年が出場4回目。
去年、9位で初のシード権を獲得したばかりの大学だ。
駒澤大学は、55回連続55回出場。それまで6回の優勝経験を誇る、箱根の伝統校。
その経験の《差》が、最終10区で出てしまったのだと思う。
ただ、創価大の関係者たちは、この結果をマイナスと捉えていない。
㊗️創大駅伝部 総合2位㊗️
— 創価大学広報 (@soka_univ) 2021年1月3日
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優勝こそ逃したものの、目標の3位以内を達成しているのだし、出場4回目で準優勝は堂々たる成績。
なんと言っても、優勝候補の青山学院大学や東洋大学に先着しているのだ。
選手たちにとって、初優勝は来年以降のお楽しみに繋がったということなのかもしれない。
個人的には、母校中大の頑張りにも心を打たれた。
往路は、残念ながら19位。芦ノ湖では、繰り上げ一斉スタートという屈辱だ。
復路の実況中継でも、最初は殆ど学校名を呼ばれることはなかったが、後半は、しばしば名前が出てくるようになり…。
12番目でフィニッシュ!
繰り上げスタート分のビハインドを含めても余裕があり、最終的に12位という結果になった。
往路19位から、よく追い上げたともいえるけれど、シード権(10位まで)をとれなければ、19位でも12位でも、悔しさは変わらない。
復路だけ見れば、3位という成績だっただけに、返す返すも、往路の不調が悔やまれる。
スーパールーキーになる筈だった、3区 吉居 大和選手*1の大ブレーキ(区間15位)が痛かった。
しかし、これも初箱根の洗礼なのだろう。
吉井選手は、まだ1年生だから、来年の逆襲に期待したい。
*1:日本インカレの5000mで、留学生を抑え優勝。箱根の予選会では、チーム内トップの1時間1分47秒をマーク。