箱根駅伝2023は、駒沢大学の圧勝で幕を閉じた。
アンカーの青柿は、何度もガッツポーズを見せた後、大学駅伝「三冠」を示す三本指を立ててフィニッシュ地点へ。
大学駅伝三冠は、過去4校しか達成していない偉業。
箱根駅伝としても、「往路」「復路」「総合」を制して三冠だ。
4区で中大から1位を奪って以降、一度も先頭を譲らず、全選手が区間5位以内という安定した実力で、その強さを見せつけた。
流石、というしかない。
駒大を率いる「名将」大八木弘明監督は、優勝会見の直後、今年3月限りでの電撃退任を表明した。
退任を決めたのは、昨年4月頃とのこと。
大八木監督にとって、これが最後の箱根駅伝になることを、選手たちはもちろん知っており、だからこそ、今回の三冠達成は大きな意味がある。
稀代の名将、大八木監督にとっては、まさに有終の美となる、感動の三冠だ。
優勝直後の胴上げは、監督にとっても、選手たちにとっても、感無量だったろう。
来年以降は、大八木総監督として残るようだが、大きな一区切りになったことは間違いない。
僕の母校、中央大学も大健闘した。
第77回(2001年)大会以来、なんと22年ぶりのトップ3入りだ。
中大は、過去最多14回の優勝を誇り、第35回~40回では総合6連覇の偉業も達成している古豪。
しかし、第89回(2013年)大会での途中棄権以降、次回のシード権(上位10校)さえも獲得できなくなり、2016年の予選会では、10位の日本大に44秒届かず、連続出場も87回で途切れてしまった。
その時のショックを、僕は一生忘れないだろう。
その後、藤原正和監督の下、チームの立て直しが図られ、昨年の第98回大会では、総合6位。
10年ぶりにシード権を獲得した。
藤原監督は、従来から、「第100回大会での総合優勝を目指す」と公言している。
昨年の6位(ホップ)に続く2位(ステップ)で、来年の飛躍(ジャンプ)が夢ではなくなってきた。
絶対エースの吉居大和も、今回3区で区間賞を獲得した中野翔太も、来年は健在。
記念すべき第100回制覇は、古豪中大の大復活にふさわしい。
僕は大いに期待している。
昨年の王者青山学院大学は、総合3位でフィニッシュ。
往路終了時点でも3位だったが、復路スタートの6区では、区間最下位という大ブレーキがあり、小田原中継所では7位。
その後、8位にまで後退した時は、「シード権さえ危ないんじゃないか?」という声まで上がっていた。
しかし、やはり青学は底力がある。
9区を走った岸本大紀が、意地の区間賞で5人抜き。再び3位まで浮上。
ビハインドが大きすぎて、前を行く中大の背中さえ見えなかったけれど、でも、しっかりトップ3を獲得するところが、前年覇者の意地だ。
あぁ、やっぱり箱根駅伝は面白いなぁ。