かつて、十条駅前には「王華」という餃子の名店があった。
手のし皮を使った焼餃子が自慢で、店頭も店内も、餃子推しが凄かった。
実際、その餃子は、推しに違わない絶品で、僕のお気に入りの店のひとつだった。
ところが…。
十条駅前の再開発に伴い、「王華」は、あえなく消滅してしまった。
また、十条商店街の中には…。
昭和から続く町中華「三龍亭」があり、店内でも持ち帰りでも、レトロな味わいの激安餃子に酔いしれることができた。
しかし、僕が3年ぶりに訪れてみると、なんと、この店も閉店に追い込まれてしまっていた。
僕は先週、十条の内田治療院で、鈴木先生からその情報を伺い、大きなショックを受けたのだ。
鈴木先生も、町中華好き、餃子好きとのことなので、この店がなくなったことを残念に思っており、「十条には、町中華がなくなってしまいましたねぇ…」と嘆いていた。
僕も、激痛鍼の施術を受けながら、残念な思いに共感していたところ、先生は、あらたな店を推奨してくれた。
それは、十条商店街の中にある大陸系の店で、「餃子は普通ですけど、1度は食べてみてもいいかもしれません。」とのことだった。
ということで、今回、内田治療院での施術を受けた後、商店街を歩いていると、すぐにその店は見つかった。
店の名は「祥龍園」
店頭での中華惣菜パックを売りにした、商店街によくあるタイプの大陸中華系店舗だった。
中華惣菜は、290円から揃っており、なかなかリーズナブル。
餃子は390円で、普通の焼餃子の他、棒餃子タイプのものも販売されていた。
ここで惣菜をいくつか買って、家で食べるのも悪くなかったが、店頭の看板を見て、考え直した。
おぉ、生ビール290円。安い!
ならばやっぱり、できたて餃子で餃ビーしたいと思うのが心情。
ということで入店。
店内でも、生ビール290円は大きくプッシュされていた。
僕は、「なんちゃってビール」の可能性もあるんじゃないか?と心配していたが、なんと、サントリーモルツだと言う。
それが290円ならば激安だ。
ビールのお供に餃子を注文することは決定していたが、メニューを見ると、焼餃子1種類だけ。
これはこれで美味しそうだったが、店頭には棒餃子も並んでいたので、店員に聞いてみると、「棒餃子も同価格で注文できます。」とのこと。
もちろん両方注文したが、なぜ店内メニューに載せないのだろう。不思議だ。
焼餃子が出てくる前に、ビールのアテを1点注文しておこうと思い、壁の小皿料理メニューを眺めてみる。
大陸系中華店のいいところは、こういった「ビールのおつまみ」が充実していること。
日本の「純」町中華店では、オーソドックスな中華料理しか提供していないことも多いため、この点は、大陸系の魅力だと言える。
どれもこれも安くて美味しそうなので迷ったが、僕のメインはあくまで餃子であることを踏まえ、バランス重視で、24番の「高菜と青豆和え」を選択。
野菜をしっかりとれそうだし、高菜と青豆であれば、生ビールのアテとしては最高に決まっているからだ。
メニュー名が、高菜と青豆「和え」だったので、僕はてっきり小品の冷菜なのかと思っていたが、その予想は大きく裏切られた。
熱々で提供されたその料理は、青豆の彩りが鮮やかで美しく、しかも…。
豚肉がたっぷり入った、本格的な炒め物だったからだ。
メニュー写真よりも断然いいじゃないか!
ボリュームも十分で、これだけでしっかりとした食事になる。
もちろん、ビールとの相性も抜群だ。
僕は、これがあまりに美味しいので、あっという間にビールを1杯飲み干してしまったほど。
これは、想定外に「当たりの店」なのかもしれないぞ!
…と、思っていると、僕の目の前に、メイン料理が運ばれてきた。