僕は、自分の顔がとにかく嫌いだ。
だから、被写体として「自分だけ」が写っている写真は極めて少ない。
誰かと一緒だったり、集合写真の一員として写ることには抵抗がないのだけれど、「自分だけ」の写真は、何の価値もないと思えてしまう。
子どもの頃はともかくとして*1、成人以降の単独写真は、殆ど持っていない。
最近は、スマホで簡単に《自撮り》ができる時代になっていて、SNSなどでは、そんな自撮り写真が多数アップされている。
旅先などでの美しい風景とともに撮られた自撮り写真は、実に素晴らしいものが多く、自撮り写真を撮りたくなった気分も理解できる。
僕は、自撮りという行為を否定しているわけじゃない。
自分が単独で「自撮り」の被写体になることがイヤなだけだ。
美しい風景などと一緒の《自撮り》なら、何とかぎりぎり耐えられる。
写真の主役はあくまで風景だと思えば、たとえ僕の顔であっても、その夾雑物として考えればいい。
しかし、そんな考え方で乗り切れない《自撮り》も存在する。
なんと言っても最悪なのは、銀行やクレジットカードなどを新規作成する為に必要な、「強制自撮り」というヤツだ。
スマホカメラで単に自撮りをさせられるだけでなく、カードや本人確認書類と一緒に映せとか、首を左右に回せとか、いろんなことを指示してくる。
しかも、うまく撮影できないと、何度も何度もやり直しをさせてくるので、
ええぃ、面倒くさい!
と叫びたくなる。
自宅でひとりでそんな写真を撮らされていると、僕は、自分の疲れて老いた顔を何度も見せつけられる羽目に陥って、気が狂いそうになる。
セキュリティ対策の強化だかなんだか知らないが、スマホの登場以前は、こんなことはなかったので、本当に憂鬱だ。
それを行わないと、特定のサービスが利用出来ない、カードが発行できない、というような時代になってしまったので、仕方がないのかもしれない。
サービス開始の1回だけで済むなら、まだ諦めもつく。
しかし、それだけで済まないのが、実に腹立たしいのである。
先日僕は、iPhone SE2からiPhone 12 miniへの機種変更を行った。
設定が自動移行されるアプリが多かったが、銀行系などは基本的に再ログイン、再認証が必要。
悲しいかな、何度かパスワードの入力を誤ってしまった銀行アプリがあった。
すると…。
僕の口座は自動ロックされ、その解除の為に、なんと「強制自撮り」による認証手続きが必要になってしまったのだ。最悪。
本当に勘弁して欲しい…。
*1:自分の意思にかかわらず、親などに撮られてしまっていた写真が多数ある。