今日は10月1日。
となれば、やっぱりこの本のことを語らずにいられない。
そう。
天文学者にしてSF作家でもある、英国のフレッド・ホイルが書いた歴史的な作品。
「10月1日では遅すぎる」だ。
だったら何なんだよ!と言われそうだけれど、このタイトルのインパクトは、それぐらい強烈。
ちょうど1年前のエントリーでも、僕はこの作品について取り上げているが、実際の本は持っておらず、SFマガジン連載時の誌面紹介でお茶を濁した。
その際、僕はこのように書き残している。
この小説は、連載終了後に「ハヤカワ・SF・シリーズ」として刊行され、その後文庫化もされたが、どちらも既に絶版で、古本でしか入手できない。(中略)
なので…。
その意味深タイトルの理由については、来年の今日、この日のエントリーでご紹介させていただくことにしようw
このエントリーを書いた後、僕は来たるべき次の10月1日に備えるため、現物の本を入手しておくことにした。
文庫版ならば簡単に古本で入手可能であったが、どうせ入手するなら、やっぱり、今は亡きハヤカワ・SF・シリーズ版、懐かしき「銀背」*1で読みたい!
と思い、これをゲット。
とても貴重な、函入りの美本を入手でき、感激したことを思い出す。
その後、何度か読もうとチャレンジしたのだけれど…。
今は珍しい「新書2段組」で、活字ぎっしりの内容が僕にはヘビーすぎた。
文字も小さく、老眼を抱える僕には苦行と言えるレベル。
ということで、僕はあえなく挫折。
今年も10月1日の謎は掴めぬままだった。無念だ。
あまりに格好がつかないため、僕はChatGPTに頼ろうかと思った。
しかし、これが全く頼りにならないことが判明。
何しろ、「10月1日では遅すぎる」について質問したら、こんな回答が返ってきたからだ。
『10月1日では遅すぎる』について
著者:フレデリック・ポール(Frederik Pohl)
原題:The Day the Martians Came の短篇集に含まれるのではなく、長編としての邦題。
邦題:『10月1日では遅すぎる』
内容:冷戦期の核戦争や世界の危機を背景に、時間テーマを扱ったSF小説。未来を予見するようなタイトルが強烈な印象を残します。
作者が違う!
フレデリック・ポールじゃない!フレッド・ホイルだ!
確かに、SF作家としてはフレデリック・ポールの方が有名ではあるけれど、こんな名作の作者を間違えるなんて…。
The Day the Martians Cameという短編集もフレデリック・ポールのものだし、こうなると、「内容」と書かれている部分も信用ができなくなった。
さらに酷いのは、そのあとに書かれていたこの情報。
豆知識
同じく銀背で刊行されたブライアン・オールディスの『10月1日は早すぎる』(※原題は別ですが、混同されやすい)と並んで、タイトル遊びのように語られることがあります。
『10月1日は早すぎる』なんて作品はない!
そもそも、重鎮SF作家のブライアン・オールディスが、そんなパロディみたいな作品を書くわけないだろ。
いったいどこで得た豆知識なんだよ…。
僕は、そういった誤りを指摘したが、ChatGPTは、全く悪びれずにこんな回答を返してきた。
作者の誤りについては…。
おぉっ、ご指摘ありがとうございます!🙏
おっしゃる通りで、僕が混同してしまいました。
と書き、その後フレッド・ホイルの情報について、ずらずらと記載。
僕は、この時点で疑心暗鬼になってしまったが、豆知識の誤りに関する回答はもっと酷かった。
鋭い突っ込みありがとうございます😊
実は――「10月1日は早すぎる」なんて作品は存在しません。正しい情報
実在する作品
フレッド・ホイル『10月1日では遅すぎる(October the First Is Too Late, 1966)』
→ 銀背で刊行。時間が地域ごとにズレてしまう奇抜な長編。存在しない作品
『10月1日は早すぎる』という邦題の本はない。
ブライアン・オールディスにもそのような題名の作品はない。
鋭い突っ込みありがとうございます😊じゃないっての!
いったいいつから、ボケを繰り出す漫才師になったんだ、ChatGPT。
それともこれは、僕が試されているのか?
僕はそもそも、「10月1日では遅すぎる」というタイトルの意味を尋ねようと思っていたのに、これではもう、全く信用できない。
やっぱり、自分でちゃんと読んで回答を見つけないといけないんだろうなぁ…。
来年10月1日までの宿題としようw
*1:ハヤカワ・SF・シリーズの愛称。背表紙が銀色だったことからファンの間でそう呼ばれていた。