アレンドロン。
かつて、世紀の二枚目として、国際的な人気を博したフランスの俳優*1の名前と酷似しているが、もちろん、何の関係もない。
これは、骨粗鬆症の治療薬で、正確には「アレンドロン酸」と呼ばれる。
骨粗鬆症は、骨量(骨密度)が減少し、骨が脆くなることで、わずかな衝撃で骨折しやすくなる病気。
その発症には女性ホルモンが影響する場合が多く、圧倒的に高齢女性の割合が高い。
だから、僕には無関係な病気だと思っていた。
そもそも、整形外科で行った骨密度検査では、僕の骨密度は極めて良好だったのである。
しかし今回、僕はこの薬を処方されてしまった。
僕のように骨折を繰り返す場合、希有なケースではあるものの「骨密度は低くないが、骨粗鬆症の可能性が高い」ということになってしまったのだ。
男性で、僕ぐらいの年齢だと、骨粗鬆症になるのは極めて珍しいケースらしい。
しかも僕は、定期的に運動を行っていたので尚更。
整形外科医の先生は、疑問に思いながらも、実際に骨折を繰り返している以上、やはり「骨粗鬆症患者としての治療」が必要だと、僕に説いた。
ということで僕は、骨粗鬆症の治療薬「アレンドロン酸」を飲むことになったのである。
この薬は、週に1回だけ飲めばいいらしいので、服用にも手間がかからないだろう…と思っていたのだけれど、大違いだった。

飲用に際して、とにかくやたらと制約があるのだ。製薬だけに。違うか。
朝起きた時に飲まなければならない。
水で飲まなければならない。
服薬後、少なくとも30分は横になってはいけない。
僕は不眠症気味で、深夜の中途覚醒が多い(上にそのまま眠れないこともある)ため「朝起きた時」という解釈が難しい。
中途覚醒した時に飲めればいいのだけれど、飲んでから30分以上横になれないのでは、ますます不眠が進んでしまう。
また、中途覚醒した際は、ヨーグルトを食べる習慣もあったりする(これをすると、またすんなり眠れたりする。)のだけれど、いざ食べてしまうと、この薬は飲めなくなる。
ということで、なかなか悩ましい薬なのだ。
薬剤師からもらった説明書には、さらに細かい注釈が書かれていた。

ミネラルウォーターNG!
近年、僕は水道水をそのまま飲んだことはなく、麦茶やルイボスティーにして飲むことが常だった。
この薬は、そういったお茶類での服用がNGであるばかりでなく、ミネラルウォーターさえもNGだと言う。
なんという面倒臭い薬なのか。
詳しく調べてみると、エビアンやコントレックスなどの硬水ミネラルウォーターでなければ問題なかったようだが、とはいえ、制約が多いことには変わりない。
僕は、先月からこの薬を飲み始めたばかりで、まだ数回しか飲んでいないけれど、なかなかこれらの制約をうまく守れなかった。
週に1回というのが曲者で、その服用日だけ「いつもと違う習慣」をとらなければいけないというのが、なかなか難しい。
寝起き時に、この薬を飲まなければいけないのに、つい、ルイボスティーを飲んでしまったり、ヨーグルトを食べてしまったりしたからだ。
その翌日に、なんとかリカバリーできたものの、厄介な薬だなぁという印象は否めなかった。
しかも…僕の場合はさらに面倒な状況も発生していた。
今回、このエントリーを書くべく、薬剤師からもらった説明書を見直していたら、以下のような文面が記載されていることに気がついたからだ。
この薬を服用中に歯科治療を受ける場合は、この薬を服用していることを歯科・口腔外科医師にお知らせ下さい。
ん。なんなんだこれは。
僕は今、インプラントの治療を受けている途中。
今月下旬には、人工歯を埋め込む手術が控えており、今週末はその型取りを行う予定だ。
そんな時に、この薬を飲んではいけないのか?
僕はその理由がわからなかったので、ChatGPTに確認してみると、以下のような回答が返ってきた。
アレンドロン酸をはじめとする ビスホスホネート製剤(骨粗鬆症治療薬)には、歯科治療と関わる 重要な副作用リスク があるため、必ず歯科医に伝えるよう指導されています。
関係する副作用:「顎骨壊死(がっこつえし)」
ビスホスホネート製剤のまれな副作用として、顎の骨の血流が悪くなり、壊死(骨が死んでしまうこと)を起こす ケースが報告されています。
特に、抜歯やインプラントなど外科的処置で歯ぐきや骨に負担がかかった場合にリスクが高まります。
顎骨壊死??
何だか恐ろしい響きの副作用が生じる可能性があるとのこと。
怖い、怖すぎる。僕は、恐怖に怯えてしまった。
果たして僕は、無事にインプラントの手術を受けることができるのだろうか…。
確認後、あらためてご報告させていただくことにしたい。
*1:「アラン・ドロン。」のこと。若い人にはわからないだろうなぁ…。
