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とにかく圧倒的、としか言えない「プライベート・ライアン」

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長い間、後輩から借りていたDVDを、ようやく、見終わった。2ヶ月前から借り続けていたものだ。

レンタルDVDだったら、間違いなく投げ出していた。それほどまでに、僕にとって、この映画はキツかった。信頼できる後輩の強力な推薦がなければ、きっと乗り越えることはできなかったと思う。
とにかく僕にとって苦痛だったのは、冒頭の30分。ノルマンディー上陸作戦における、オハマ・ビーチでの戦闘シーンだった。いったい何なんだ、このリアリスティックな地獄絵図は。正直、ここを乗り越えるのに、2ヶ月かかったと云ってもいい。
くだんの後輩は、大のミリタリー好きで、戦争映画にも造詣が深いのだけれど、その後輩をもってして、「図抜けている」という評価があった戦闘シーンだから、とにかく凄いというのは覚悟していた。しかし、まさかここまでとは。
何という圧倒的な残虐さだろう。あまりにも長く、果てしない銃撃戦。1シーン毎に溢れかえる死体の数々。銃声と血で色塗られた画面を見るたび、僕は気分が悪くなって映画を止めた。映画館で見ていたら、目を開けていられなかったかもしれない。それほどまでに、僕にとって、この映画の戦闘シーンは衝撃的、圧倒的だった。
子供のような感想になってしまうけれど、「戦争というのは、こんなに壮絶で、恐ろしいものだったんだ…」ということを感じずにはいられなかった。
僕は、地球破滅系のパニック映画が結構好きで、そういったものは積極的に見ている。「宇宙戦争」「インディペンデンス・デイ」「デイ・アフター・トゥモロー」「地球が静止する日」などなど。最近でも「ノウイング」を見たばかりだ。このジャンルの映画で発生する死者の数は、「プライベート・ライアン」の比ではない。何しろ、ほんの一瞬で、何百万人もの人が死んだりするのだ。しかし、そういったシーンで、僕は、ほとんど苦痛を感じることがなかった。あまりにもリアリティが薄いからだ。あくまで映画の中の話、絵空事と割り切って見られる。だから、辛くない。
しかし、この映画は違う。実話をもとにした映画であり、その実話というのが、第二次世界大戦で、最もよく知られる戦闘である「史上最大の上陸作戦」というのだから、その再現シーンは、本当にハンパじゃなかった。
先週末、そこを何とか乗り越えてからの展開は、速かった。この映画のメインストーリーは、「行方不明になったライアン二等兵を救う、8人の兵士の物語」というもので、兵士たちが、心に葛藤を抱えながら、ライアン二等兵の捜索に乗り出す展開には、ゾクゾクした。なぜ、あれほどの人が一瞬で死んでしまうような大戦争のまっただなかに、たった一人の二等兵を捜し出すため、8人もの兵士が駆り出されなければいけないのか。
僕でさえ疑問に思うのだから、担ぎだされた兵士たちの気持ちを思うと、いてもたってもいられなくなる。しかも、ライアンを見つけるまでの間も、戦争は続いているわけだから、当然、安穏とした捜索行になるわけはなく…。
これから先は、書いてもネタバレになるし、ここまで見た人は、最後まで見ずにはいられない筈だから、僕の感想は、きっと蛇足だ。だから書かずに済ませるけれど、これだけは云っておきたい。
冒頭の、壮絶で圧倒的な30分があったからこそ、戦争というものの恐ろしさ、凄まじさがわかる。だから、それ以降の物語におけるさまざまな葛藤が、猛烈に、心に響くのだろう。後半30分も、ある意味凄まじいのだけれど、最初の30分を乗り越えているから、僕は冷静に見ることができたのだと思っている。
全編を見終えると、また最初から見直したくなるような構成も見事。もう1度見ると、きっと1度目ではわからなかった、色々なことが見えてくるようになるのだろう。ただ、やっぱりあの30分は(何度見ても)きっとキツイと思うのだけれど。


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