『100分de名著』は、古今東西の「名著」を25分×4週の100分で読み解いていく、NHKの人気番組だ。
過去に紹介された本たちのラインナップは豪華絢爛。
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誰もがその名前を知っているような古典の名作たちがズラリと並んでいる。
これらの作品を、さまざまな手法を使い、100分かけて丁寧に読み解いていくのが、いかにもNHKらしい。
たまに作家別の特集も行っており、過去には、夏目漱石、宮沢賢治、司馬遼太郎、松本清張…と言った先生たち、直近では、有吉佐和子先生がフォーカスされていた。
まさに日本を代表する国民的作家たちの特集になっていたのだ。
そんな『100分de名著』のスペシャル版として、遂に、僕らの筒井康隆先生が登場することになった。
その噂を最初に聞いた時、僕は、大いに喜びつつも、わずかながら違和感を覚えた。
『100分de名著』のコンセプトは、「一度は読みたいと思いながらも、途中で挫折してしまった古今東西の名著」というもの。
過去この番組で取り上げられた作品には、いわゆる古典の名著が、ズラリと並んでいる。
筒井康隆先生の作品群は、もちろん名著ばかりだけれど、決して古典などではないからだ。
過去の作品に再び火がついて、現在売れ続けているものも多数。
近年でも、「旅のラゴス」「虚人たち」「残像に口紅を」と言った名作たちが、再び大ヒットしたことは記憶に新しい。
来年も、新春早々に「敵」を原作とした映画が公開予定だ。
これは、ロードショーに先立って出展された「東京国際映画祭」で、東京グランプリを重賞。大いに話題となっている。
今現在もこうやって、話題になり続けている筒井康隆先生の作品が、古典ベースの『100分de名著』に登場するというのは、やっぱりちょっと違うような気もするなぁ。
…と、僕は一瞬思ってしまったのだけれど、それは単なる勘違いだった。
今回、筒井康隆先生が登場するのは、『100分de名著』の系譜を組んではいるののの、全く別物の超スペシャル番組だったからだ。
その名は…。
通常の4週間放送と異なり、100分ノンストップ。
しかも…登場する方々と、その作品群が凄すぎる。
【出演】
中条省平(フランス文学者・学習院大学教授)×「脱走と追跡のサンバ」
池澤春菜(声優・作家・エッセイスト)×「家族八景」/「七瀬ふたたび」/「エディプスの恋人」
菊地成孔(サクソフォーン奏者・文筆家)×「エロチック街道」
大森望(書評家・翻訳家)×「虚航船団」
【VTR出演】
松尾スズキ(作家・演出家・俳優)
吉田大八(映画監督)
【MC】 カズレーザー/安部みちこアナウンサー
【朗読】 岡部たかし/朝倉あき
【語り】 小口貴子
いやぁ、もう、豪華絢爛だ。
先ほどご紹介した近年の話題書を外しても尚、名作ばかり。
それらを、各業界屈指の論客たちがクロストークするだけでなく、松尾スズキさんや、吉田大八監督(前述「敵」の監督)も登場。
MCが、芸能界きってのツツイストである、カズレーザー(「虚人たち」「残像に口紅を」再ヒット時の火付け役)というのも魅力的だ。
筒井先生初期の実験作にして大傑作の「脱走と追跡のサンバ」、圧巻の七瀬三部作、全編粒揃いの短編集「エロチック街道」
そして…純文学書き下ろし特別作品として書き下ろされ、発売直後から大いに話題になった「虚航船団」
どれもこれも、紛うことなき名作と言っていい。
僕は、この人生でもう何度も読み返してきた作品ばかりだけれど、今回の放送に備え、年末年始にあらためて読み直しておこうと思っている。