ツツイストとは、筒井康隆先生の熱狂的なファンを指す言葉。
僕はもう、四十年来のツツイストだ。
ハルキストとは、村上春樹先生の熱狂的なファンを指す言葉。
…だと思って、使っているマスコミも多いが、本当の村上春樹ファンなら、この言葉が間違いだということを知っている。
村上春樹先生は、ハルキストという名称を気に入っておらず、「(そういったファンのことは)村上主義者と呼んで欲しい。」と言っているからだ。
だから、今回のエントリーのタイトルも、本来は、「ツツイスト&村上主義者」が正しい。
ただ、それだと韻を踏まないので、便宜的にツツイスト&ハルキストとした。
村上春樹先生、申し訳ありません。(謝るなら書くなよw)
…と、例によって前置きが長くなってしまったが、とにかく、ツツイストや村上主義者にとって、今月の「新潮」購入はマスト。
筒井康隆先生の最新短編と、村上春樹先生の最新講演記録が掲載されているからだ。
筒井先生の短編作品が「新潮」に掲載されるのは、昨年2月号の「プレイバック」以来。
この作品は、筒井康隆作品の登場人物たちが、病床にいる作家の脇に、現れては消えていくという、夢のような設定で書かれていた。
ツツイストにとって、感激感涙の感動作だ。
今回、最新号の「新潮」に「カーテンコール」という名前の新作が発表されると聞いた時、僕は、そのタイトルから、筒井作品の主人公たちが、再登場してくれるのかと思った。
「プレイバック」の後日談を想像したのだ。
胸をワクワクさせながら、「新潮」の巻頭に掲載されていた作品のページをめくる。
筒井先生の新作を読みはじめる時、僕は、40年以上ずっとワクワクしているのだけれど。
僕の予想は、半分外れた。
これは「プレイバック」のように、筒井作品の登場人物が出てくる作品ではなかったのだ。
しかし、懐かしさに心を打たれるという点では、今回も同じ。
古き良き映画界を中心とした、オールスターキャスト勢揃いの作品であり、次々と出てくる名前に興奮するからだ。
筒井康隆先生本人まで登場するから、またしても、感激感涙。
ツツイストであれば、絶対に読み逃せない最新作と言える。
村上主義者(ハルキスト)にとっても、今回の「新潮」は重要。
今年の4月、米マサチューセッツ州の女子大で行われた講演「疫病と戦争の時代に小説を書くこと」の書き起こしが掲載されているからだ。
村上春樹先生は、かつて、オウム真理教団による地下鉄サリン事件に関する渾身のノンフィクション「アンダーグラウンド」を書いた。
また、阪神淡路大震災をモチーフにした短編集「神のこどもたちはみな踊る」も擁している。
それぞれの時代の重たい空気に向き合ってきた作家だから、今、この時代に存在する「疫病」や「戦争」について、どう語るのかは実に興味深いものがある。
今回の講演では、新作「街とその不確かな壁」と絡めながら、そんなテーマについて真摯に語っている。
今月号の「新潮」には、その講演の日本語訳とともに、英文も掲載。
村上春樹先生は、この講演録の前書きで、「翻訳された文章と、原文とではニュアンスが異なるため、両方を掲載した」と仰っている。
流石、翻訳者でもある村上春樹先生らしい配慮だ。
あぁ、できれば、この原文を村上春樹先生の渋い声で聞きたい。講演の雰囲気を生で感じ取りたい。
どこかで音声コンテンツも出してくれないかなぁ…。