イタリアの街並みを模した、「ラ チッタデッラ」の華やかなイルミネーションに目もくれず、僕は、一目散に、大陸へと向かった。
いや。大陸じゃない。
「太陸」だ。
店頭にはためく、真っ赤な暖簾の競演。強烈な餃子推し。
外観は年季が入っていて、いかにも老舗の中華料理店という雰囲気を醸し出している。
創業は昭和36年3月ということだから、僕が生まれる前からある。
僕は、今回初めて訪れる店だったのだけれど、なんだか、懐かしさを覚える趣だった。
入店。
店内の壁には、紹興酒がずらっと並び、芸能人たちのサイン色紙や、記念写真、表彰状なども飾られていた。
決して綺麗な店とは言えないけれど、いかにも町中華といった感じで、地元の人を中心に賑わっていた。
僕は、メニューをさらっと眺め、まずは、すぐに出てきそうなお新香と…。
生ビールを注文。
お新香は、百年床ということで、しっかりと味が染みこんでおり、冷えたビールにとても合った。
しばしこれで場を繋ぎながら、あらためてメニューを見る。
売れ筋ランキング上位の料理には☆がついており、お新香は5位。
1位はもちろん…。
焼き餃子だった。
2位はゆで餃子なので、餃子のワンツーフィニッシュ。
「餃子推しの店」なのだから、当然の結果とも言えるが、やおら、期待は高まる。
僕は、まさに、その焼餃子が食べたくてやってきたので、注文。
餃子はもちろん手作りで、おみやげとして生餃子販売もしているようだ。
経験上、こういう告知をしている店の餃子には、まず外れがないので、僕は大いに期待した。
待つこと15分…くらいだったろうか。
餃子が来た!
ぷっくりと具が詰まったフォルム。まさに《手作り》の餃子だ。
ちょっと焦げ気味ではあったけれど、個人的には、このぐらい焼いてくれた方が好みだったりする。
皮のカリカリ感をしっかり味わえるからだ。
餃子が焼き上がるまでの間に、生ビールのジョッキを1本あけてしまったため、もちろん、ビールも追加。
「ボヘミアン・ラプソディ」の余韻を味わいながら…さぁ、待望の餃ビーだ!
まずは餃子を囓ってみて…驚いた。
おぉぉ。旨い!
旨いぞ!
思わず、そう繰り返して叫びたくなるほどの旨さ。
歯ごたえのいいザク切り野菜と、強烈なニンニクのパンチ。皮も、もちもち&カリカリで、実に味わい深い。
池袋「東亭」の餃子をこよなく愛する僕にとって、これは、個人的に、《どストライク》系の餃子だった。
もちろん、東亭の餃子には及ばない。
しかし、東亭は、現在「生餃子」の持ち帰りしか行っていないため、店で《焼きたて》を食べられるというのは、大きなポイント。
しかも餃ビーできるなんて最高じゃないか。
ここ「太陸」は川崎の餃子店なので、地区名物の《かわさき餃子みそ》が用意されていた。
…が、この餃子には、それよりもっと合いそうなものがあった。
テーブルに常備されていた、自家製辣油。
僕は、東亭の餃子を、いつも辣油だけで食べているから、これもきっと合う、筈。
そう言えば、前回の川崎訪問時も、「三鶴」の自家製餃子&自家製辣油に痺れたことを思い出す。
あの餃子も、本当に美味しかったなぁ…。
と思いながら、同様に、自家製辣油だけで食べてみる。
やっぱりこれも旨い!
最近は、焼餃子に酢胡椒をつけて食べる、というのが定番になりつつあるが、個人的には、《辣油だけ》という食べ方も推したい。
下味のしっかりついている野菜系の焼餃子には、特に合うと思う。
餃子の旨味をしっかりと引き出してくれて、オススメだ。
意外なことに(?)川崎餃子みそダレでの味わいも、そんなに悪くなかった。
「餃子みそ7:酢2:ラー油1」のパターン*1で食べたが、餃子の旨味を、それなりに引き出しているように思えた。
ただ、どちらかと言えば、やっぱり、自家製辣油だけで食べる方が美味しい。
僕は、どストライク系の餃子に酔いしれて、至福の餃ビー時間を過ごした。
またチネチッタで映画を見るときは是非訪れたいし、そうでなくても、この店だけのために、またやってきたいと思った。
あぁ、おみやげの生餃子を買っておけばよかったなぁ…。
*1:が黄金比だとボトルに書いてあった