そして僕は、再び、川崎を訪れた。
人生二度目の「ラ チッタデッラ」訪問。
イタリアを模した街並をくぐり抜け、僕が向かったのは…。
チネチッタだった。
ローマ郊外にある映画撮影所と同じ名前を持つ、この映画館は、その名に恥じない施設を持っている。
そして僕が、今回ここを訪れた理由は、明白。
そう。
「ボヘミアン・ラプソディ」のLZ応援上演に参加するためだった。
LZというのは、LIVE ZOUNDの略称。川崎チネチッタが誇る、極上の音響施設だ。
その素晴らしさについて、僕は、7回目の「ボヘミアン・ラプソディ」鑑賞時に実感している。
僕は、その音に痺れながら、スタンディング応援上映を堪能した。
今回、僕がここを訪れた理由は、オスカー3冠受賞を祝いたかったということと、もうひとつ。
1ヶ月前の鑑賞時にはなかった《趣向》を味わいたかったこと。
それが…。
「シンクロナイズド・マイアミ・ウェンブリーver.」だった。
チネチッタの公式Webサイトでは、次のように説明されている。
劇中の“マイアミ・ビーチ”の行動にリアルタイムでシンクロさせ、ウェンブリースタジアムのライブシーンに特化したスペシャルLIVE ZOUNDバージョンでお届けします!
1度でも「ボヘミアン・ラプソディ」を見たことがある人ならば、写真と説明で、「おお、あれか!」と納得していただける筈。
そしてそれを、実際に体験してみたくなるだろう。
僕もまさに体験したくなったので、今回の記念鑑賞は、是非川崎で!と思ったのだ。
今回も、会場前には、さまざまなクイーンマニアの方々が揃っていて、写真撮影に応えていた。
この方たちは、成田ウェンブリーでも見かけたなぁ…。
やおら、ウェンブリー気分が高まっていく。
入場前の注意事項説明。
これまでのスタンディング応援の中では、もっとも落ち着いた説明だった。かけ声などの予行練習もなし。
ただ、まぁ、最近は観客の方が慣れてきているので、もう必要ないのかもしれないけれど。
実際に、何の問題もなかった。
途中何度もあるスタンディングのシーンでも、スムーズに皆立ち上がっていたし、手拍子や足鳴らしのタイミングもばっちり。
やっぱりみんな、もう、慣れているのだ。
相変わらず、マイアミは大人気で、例の登場シーンでは、多数の黄色い声が上がっていたが、それ以外は、余計なツッコミなども入らず、僕はじっくり映画に没頭することができた。
そして。
いよいよ場面は、ウェンブリーのライブシーンになった。
そう。「シンクロナイズド・マイアミ」の真骨頂が発揮される瞬間だ。
もともと、川崎チネチッタのLIVE ZOUND音響は素晴らしい。
だから僕は、「シンクロナイズド・マイアミ」と言っても、そんなに区別できないのでは…?という、一抹の不安もあった。
しかし、それは、全くの杞憂だった。
いやぁ…。
マイアミ、最高!
と、大声で叫びたくなるほど、明らかに、音響のレベルは上がっていた。
まさにこれは、シンクロナイズド・マイアミ・ウェンブリーver.だ。
僕は、今回も、あの日のウェンブリーにタイムトリップし、マイアミになった気分で、最高の、極上のライブエイドを堪能。
個人的には、10回目の「ボヘミアン・ラプソディ」鑑賞となったが、今回もまた、僕は、新たな興奮と感動に包まれた。
劇場を出ると、「ラ チッタデッラ」の街並みは、綺麗にライトアップされていた。
洒落たバーの窓越しに、イルミネーションを眺めつつ、ライブの余韻に浸ったらロマンチックだろうなぁ…。
などと一瞬思ったが、アフターライブの楽しみ方はひとそれぞれ。
僕はもちろん、別の選択肢をとった。