昨日。日本時間の4月26日。
米ロサンゼルスで、アカデミー賞(オスカー)が発表された。
アカデミー賞授賞式は、例年2月に実施されていたが、今年は、新型コロナウイルス感染症の映画への影響を考慮し、2ヶ月遅れでの開催。
参加人数を例年の1/10とし、会場も2カ所に分散させるなど、異例づくめの形式となったものの、無事に、対面式のリアルイベントとして行われた。
アカデミー賞は、全23部門で構成されているが、そのうち、最大の注目と言える《作品賞》は「ノマドランド」が受賞した。
「ノマドランド」は、《作品賞》に加え、《監督賞》《主演女優賞》も獲得。見事、主要3冠に輝いた。
監督賞を受賞したクロエ・ジャオは、オスカー史上2人目の女性監督、アジア系女性としては史上初となる快挙。
また、主演のフランシス・マクドーマンドは、「ファーゴ」「スリー・ビルボード」に続く、3度目の主演女優賞受賞となり、キャサリン・ヘプバーン以来、史上2人目の快挙だ。
僕は、先月、東京の映画館でこの作品を鑑賞。
フランシス・マクドーマンドの演技に胸を打たれ、3度目のオスカー受賞を予感していたので、それが実現して嬉しい。
ただ、映画鑑賞後、この作品に関する情報を目にするたび、僕は、自分が甘かったことを痛感した。
作品全体の深さを、理解し切れていなかったことに気がついたのだ。
だから、もう1度見なければ…と思いつつ、その機会を逃していた。
主演のフランシス・マクドーマンドは、オスカーの授賞式でこうコメントしている。
可能であれば、私たちの映画を最も大きなスクリーンで見てください。
そしてあなたの知る全ての人を連れて映画館に行き、劇場の暗い空間で肩を並べ、今夜ここに示されている全ての作品を観てください
あぁ、これはやっぱり、もう1回見なくちゃなぁ。
劇場の大スクリーンで、アメリカの広大な大地と、そこで暮らすノマドの姿を目に焼きつけなきゃなぁ。
そう思った。
…が、それができないことに気がついた。
本来であれば、米アカデミー賞で盛り上がる筈の上映館が、軒並み休業になってしまったからだ。
緊急事態宣言発令に伴う休館について - 109シネマズ | 109CINEMAS
そう。
東京への緊急事態宣言発令に伴う休館である。
映画館にとって、GWは、年間でも最大と言える《かき入れ時》なのに、何とも切ない。
都内のシネコンでは、十分すぎるほど換気に気を遣っているし、以前実施していたような「1席おき販売」「飲食禁止」などの措置をとれば、休館する必要はなかったのではないかと思う。
マスク着用で、静かにスクリーンと向き合うだけ。一体何が問題なのか。と、言いたくなる。
僕は昨日も普通に通勤しているが、朝夕のラッシュ時における電車内は、普通に混雑していた。
それに比べれば、映画館なんて絶対的に安全だと思うんだけれどなぁ…。
そもそも、政府によるこの措置には、決定的な穴がある。
ちょっとだけ足を伸ばして、神奈川・千葉・埼玉に入れば、全く問題なく映画は上映しているからだ。
川崎なんて、品川からは10分で行けるから、その結果どうなるかと言うと…。
こうなる。
近隣の都道府県に人が密集することにより、却って危険な状況を生んでしまう気がする。
小池都知事は、「東京から出ないで」と訴えているのだから、モラルの問題と言えなくもないが、釈然としない思いも残る。
こと、通勤においては、東京と近隣都道府県はシームレスだからだ。
僕の職場においても、毎日、神奈川・埼玉・千葉から沢山の同僚が、満員電車に揺られてやってくる。
そういった日常があるのに、都内の映画館だけ上映中止に追い込まれるというのは、どうにも理不尽な気がしてならない。