東野圭吾は、言わずと知れた、大人気作家であり、ベストセラー作品も多数ある。
しかし、なぜかこれまでは、電子書籍の作品が存在しなかった。
本人が《紙》という媒体にこだわり続けてきたからだ。
その思いは、「ナミヤ雑貨店の奇蹟」文庫版の末尾に、こう記されていることからもわかる。
著者は本書の自炊代行業者によるデジタル化を認めておりません。
かくも敢然と、デジタル化に反対しつづけてきた作家なのである。
しかし…。
新型コロナウィルス発生に伴う外出自粛の趨勢が、そんな著者の心を動かした。
外出ができず、自宅で過ごすことが多くなった若者に向けて、「たまには読書でも楽しんで」という気持ちをこめて、電子書籍化が実現されることになったようだ。
<東野圭吾氏のコメント>
外に出たい若者たちよ、もうしばらくご辛抱を!
たまには読書でもいかがですか。新しい世界が開けるかもしれません。
保証はできませんが。
なんとも嬉しいコメントではないか。
ただ、作品の電子書籍化は、『最初で最後かもれない』とも言われている。
読書の楽しさを知ったあとには、町の書店で紙の本を買ってほしいというのが、著者の願いらしい。
ということで、今回の電子書籍化は特例ということになりそうだが、それでも、大きなニュースであることは間違いない。
今日、4月24日から解禁ということで、amazonでは特集ページまで組まれている。
「待望のkindle化」と書いてあるが、kindleだけの対応ではない。
楽天のkoboやhontoなどでも、一斉に電子書籍の配信がスタートしている。
すでに文庫になっている作品のうち、7出版社で各1冊づつ、7作品のみの電子化なので、正直、点数的には寂しい。
しかし、ラインナップは粒ぞろいだ。
7作すべてが、「映画、またはドラマ化された映像化作品」かつ「累計100万部を突破している作品」であり、合計発行部数は、なんと1,288万部!とのこと。
僕は、以前に一通り読んでいるけれど、実家に残したままの本が多いため、電子書籍版で、もう1度読み直してみようかと思う。
とりわけ「白夜行」*1は、文庫本が超分厚くて(854ページ!もある)扱いにくいため、電子書籍という媒体に向く。
Kindleならば、いつでもどこでも、さまざまな電子機器で読めるから、オススメだ。
*1:僕個人としては、東野圭吾作品ベスト1。超、大傑作!