とある真夏日の昼下がり。
僕は、東中野駅の近辺で、ちょっとした所用を済ませた。
ランチで軽く餃ビーでもしようかと思い、まず頭に浮かんだのは、駅前商店街にある「十番」。
餃子が有名な名店だ。
ただ、例によって行列になっていた為、並ぶのが嫌いな僕は、断念して他の店を探すことにした。
歩いているうちに見つかるだろうと、山手通りから早稲田通りへ。
さながら「孤独のグルメ」のように、ふとした出会いに期待して、ふらふらと歩いていた。
しかし、現実はドラマの世界と違う。偶然素晴らしい店が発見できるほど甘くなかった。
そうこうしているうちに、30分以上が経過。
この日はホントに暑かったし、流石に僕も耐えられなくなってきた。
「腹が…減った」とつぶやくと、脳内にこのメロディーがリフレインした。
こうなるともうタイムアウトだ。
僕は結局スマホに頼ることに決め、そこから一番近くで餃子が食べられる店はどこだろうと検索。
そして、この店を発見した。
その時僕がいた場所からは200m程度の場所だったし、「手作り餃子の店」で通し営業。
いいじゃないか。目指してみよう。
僕の細かい行動なんて、どうせ誰も気にしていないのだから、ドラマよろしく偶然に見つけたことにして紹介する手もあった。
でも…。
東京メトロ東西線 落合駅 徒歩10分
JR中央・総武線 大久保駅 徒歩12分
JR山手線 高田馬場駅 徒歩12分
JR中央・総武線 東中野駅 徒歩14分どの駅からも約1km
こんな場所にある店を、偶然発見できるもんかw
地名としては「東京都新宿区百人町」になるようだが、都内在住者でも、地名だけで場所をイメージするのは難しいと思う。
都道25号線の支線にあり、車通りは少なく、住宅が多いわけでもない。
僕は、「こんなところに餃子店があるのか?」と思いながら歩いていると…その店は、いきなり姿を現した。
「春ちゃん 手作りぎょうざ」
あっさりとした外観。暖簾もなく、いかにも大陸系の店っぽい感じの店だった。
店頭の手書きボードには、「餃子と卯の花」で500円との表示あり。
おぉ、安いじゃないか。
…ということで入店。
先客はゼロ。
最終的に僕は、1時間以上滞在したのだけれど、後客もゼロだった。
感想についてはこれから詳しく書かせていただくが、味もコスパもそれほど悪くないのに、なぜこんなに人気がないのだろう。
でも、心配はいらない。
来店客はいなくても、ウーバーイーツ系の注文はどんどん入っていて、1時間の間に、3件も引き取りがあったからだ。
こんな感じで、取り置きの料理が次々と出来ていた。
ウーバーイーツ系の注文であれば、立地なんか関係ないもんなぁ…。いい時代になったものだ。
と。僕の話に戻ろう。
驚いたのは、注文を全てタブレットで行うシステムだったこと。
大きな店ならともかく、厨房への呼びかけも簡単にできそうな店なのに、なんでタブレット注文…?と思ったが、その理由はすぐにわかった。
メニューが非常に細かいからだ。
餃子だけでも多種類にわたる上、「焼」と「水」も選択できるので、間違い注文防止の為には、タブレット形式が合っている。
僕は、お得なセットメニューの中から選ぶことにした。
餃子1種類に、ご飯、肉まん、鶏スープのつく餃子ランチセットにもちょっと惹かれたが…。
結局、手書きボードにあった「1Coin餃子セット」を選択。
餃子と卯の花で500円というセットだ。
この中から、餃子を2種類選んで、ビールをつけることにした。
セットには「卯の花」がついてくるので、餃子が出てくるまでのアテはそれで済む、というのも魅力だった。
…ということで、この2種類を注文。
「海老とニラと卵」餃子は《焼》で、「ネギと豚肉」餃子は《水》に決めた。
あわせてビールを頼む。
ほどなくすると…。
セット2人前まとめてという説明とともに、卯の花が出てきた。
ビールとの競演。
卯の花には、ラー油が添えられてきたのに、ちょっと驚いた。
店内で販売も行われている「春ちゃん自家製ラー油」だ。
もちろん、テーブル上にもたっぷり用意されていた。
それは、淡泊な卯の花にも合って、なかなか美味しかったので、販売するだけの価値はあるなぁと思った。
テーブル上には、「醤油」「お酢」の他に、「黒酢」も用意されていた。
壁の表示を眺めながら、つらつらと時間を潰していると…。
餃子2種が登場!
思ったよりも小ぶりだったので、僕は、「もう1種類注文してもよかったかなぁ」と思ったのだけれど…。
出てきた餃子は、小麦粉の皮が厚く、具もたっぷり詰まっており、結構食べ応えがあった。
「海老とニラと卵」の焼餃子。
これは、僕の大好きな餃子の具なので、大いに期待して注文した。
ただ…期待値を上げてしまった分、ちょっと残念な思いも感じた。
卵感が薄く、海老の味も殆ど感じられなかったからだ。肉のインパクトに、他の具が負けている感じだろうか。
卯の花つきで500円*1なのだから、まぁ、そんなに贅沢は言えないのだけれど。
「ネギと豚肉」の水餃子。
こちらは、とても良かった。一口囓ると肉汁がじゅわっとあふれ出て、口内を満たしてくれる。
肉の旨みを十分に感じられる餃子だ。
このままでも十分美味しかったけれど…。
黒酢と自家製ラー油につてけてみても美味しかった。
2皿食べ終わったところで…。
僕は、もう少しだけ何か食べたいと思った。
最初に注文したビールは飲み終わっていたので、少し迷った。
ここで餃子類を注文したら、もう1本ビールを飲みたくなってしまう。
この日は、あまり酔いたくなかった(今の僕は2本だとちょっとキツい)ので、ビールのいらないデザート類にしようと思った。
おやき、パイ、かぼちゃのおもち…。
いろいろと目移りしたが、結局、僕が選んだのは、朝食メニュー(写真撮り忘れ)の中にあった、これ。
「ミルク味の花巻」というメニューだった。
花巻…というと、岩手県の地名を思い浮かべてしまうが、もちろんそれとは全然関係ない。
花巻の読み方は「はなまき」ではなく、「ホアジュアン」で、中華風の蒸しパンらしい。
僕は、基本的に小麦粉ラバーのミルク好きなので、これを注文することにした。
餃子のイメージからして、それほど大きなものは出てこないだろうし、締めの甘味としてちょうどいいと思ったのだ。
しかし…。
これは大きな誤算だった。
出てきたそれは、僕の想像を大きく超えるサイズ。
食べやすいように、真ん中で2つに切断されていた。
断面図。
まさに小麦粉の塊といった感だ。これは食べ応えがありそうだぞ。
実際食べてみると…
蒸しパンというか何というか、いったいなんなんだこれは。
中華まんの皮部分だけを濃縮したような感じで、想像以上にお腹に貯まった。
ミルク味はほんのりとしか感じられず、僕は、コーヒーが欲しくなった。(メニューにない。)
半分食べただけでも結構きつく、味にも飽きてしまったが…。
残り半分は、この「ラー油入り黒酢」に救われた。
これにつけて食べてみると、甘塩っぱい感じで、なかなか悪くなかった。
結局僕は、1時間以上この店にひとりで滞在したが、居心地は結構良かった。
店内には中国音楽が流れ続けており、店員さんたちは中国語で話し続けていたので、異国気分も味わえたからだ。
満足して店を出ると、「朝食メニュー」の看板を見つけた。
この店は、なんと、7時から営業しているのだ。
朝食メニューの中には、僕が食べた「ミルク味の花巻」もあった。これにかぼちゃ粥や豆乳をあわせれば、なかなか充実した朝食になりそうな気がする。
場所的には中途半端なところにある店だけれど、都立戸山公園には結構近い。
戸山公園は、僕の大好きなランニングコースのひとつだ。
普通に朝ランができるような身体に戻せたら、朝ラン帰りに、この店に寄ってみたい。
*1:正確に書くと、この具の餃子だけは、+30円(なぜ?)となっており、530円。