餃子ランナーは電子機器の夢を見るか?

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最後の最後に待ち受けていた悲劇

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午後4時15分。
定刻より若干遅れたものの、僕の乗った飛行機は、無事成田空港に着陸した。長いようで短かった4泊6日。でも、これといって大きなトラブルなく、自分なりに十分リフレッシュができた。
飛行機を出て、いざ、旅行中に止めていたBBBの3G回線を復活させるべく、まずは電源をオンにして…。と、腰のホルスターに手を当てた時、僕の悲劇は始まった。
え、え、え?ないっ!ない、ない、ないぞ、BlackBerryがホルスターに装着されてないっ!
僕は心の中でそう叫びだしていた。いや、実際に少し声も出していたかもしれない。それほどまでに驚愕した。頭が真っ白になった。嘘だろ、まさか。
僕は、習慣的に、BBBを使い終わると、必ず腰のホルスターに装着している。いわば身体の一部にも思えるような状態になっているので、その動作を忘れることは、まず考えられない。それなのに、なぜ。
いったいどういうことなんだこれはと思いながら、僕は、ポケットというポケットをあたり、鞄の中や、土産袋の中に至るまで、探せるところは、全て探しまくった。それでも、BBBの姿は見つからなかった。
NY市内でなくしたことはあり得ない。JFKの空港ラウンジでも、Wi-Fiでメールをチェックしたし、列に並んでいる時も眺めたところまでは確かだと思う。だから、機内に忘れた可能性が極めて高い筈だ。おぼろげながら、電源オフしたのは機内だったという記憶もあるので、それが確実なら、機内での紛失率100%だ。
機内では、結構無防備に熟睡してしまったので、その間にホルスターが引っかかり、BBBが外れてしまったのではないか。そう考えた。だから、空港職員に相談して、「機内を探しますので、ちょっとお時間をください」と云われた時は、なんとなく出てくる予感がしていた。思えば、この時は、まだ、少し考えが甘かったのかもしれない。
30分ぐらいたっただろうか。
空港職員の表情で、すぐさま僕はその回答を読み取った。捜索結果は「NO」だった。席の周りをくまなく探したけれど、見つからないという。
でも、僕は諦めなかった。機内でなくなった可能性が極めて高いのだから、この捜索ルートを簡単に諦めてしまっては、あとで後悔する。だから、周辺の席も含めて、もう1度探して欲しいと依頼した。殆どあり得ないと思うのだけれど、僕が席を間違って座った可能性も含めて、手広くあたっていただけないかと懇願した。
そんな僕の熱意に応え、日本航空職員の方は、非常に丁寧に対応してくれた。周辺の席まで含め、椅子の下や、カバーの隙間、座席ポケットの中など、あらゆるところを捜索してくれたようだ。その時点で忘れものとして届けられていないかどうかも含めて、徹底的に。
しかし…結局、見つからなかった。職員の方の、済まなさそうな表情を見て、僕も申し訳なく思ってしまった。こんなに苦労して探してもらったのに、なぜ、見つからないんだろう。どう考えても、飛行機の中にあった筈なのに。
しかし、ないものはない。それが現実。この時点で、もう、飛行機が着いてから、1時間以上経っていた。もうお手上げだ。
僕は、職員の方から、済まなそうに記入を求められた「紛失品の連絡書」らしき用紙に必要事項を記入し、その場を立ち去った。見つかった時は連絡しますという言葉をかけていただいたのは嬉しかったのだけれど、あれだけ大規模に捜索して発見できなかったブツが、あとからふらりと見つかるなどと云うイメージが浮かばない。
それでも僅かな望みを信じて、空港には19時過ぎまで残っていた。しかし、僕の携帯に吉報が届くことはなかった。最初は、機内紛失であれば出てくる筈だと思っていただけに、呆然とした気持ちから抜け出せず、泣きたいほどだった。
確か紛失も含めた補償に入っていた筈なので、端末と回線はあとで何とか復帰できると思う。会社の業務用としては使っていないので、機密漏洩などの心配はない。
ただ、これまでBBBで書きためてきた膨大なメモの記録、特に、この旅のさなか、ニューヨークやアムトラック車内などで、ことあるごとに書きためた備忘録が取り戻せないとなると、ちょっとショックが大きい。自分の管理不行き届きによる失態とはいえ、旅行中の感動が吹っ飛ぶほどの衝撃だ。
あぁ。


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