餃子ランナーは電子機器の夢を見るか?

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病院の待ち時間に考えていたこと

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アキレス腱に、激痛が走った。
昨日の早朝。ちょうど、日記を書き上げたあとのことである。


アキレス腱の痛みは、実は、土曜日の朝から始まっていて、
走ることはおろか、普通に歩くこともできないくらいだった。
しかし、一晩寝れば今日こそおさまるだろうと高をくくって
いたのだ。


ところが。
この時おきた激痛は、とどまるところを知らなかった。


アキレス腱の内側から、疼くような痛みが続く。
おまけに、前日は痛くなかった左脚までが痛んできた。


これはたまらない。
会社までは、タクシー(もちろん自費!)で辿り着けたものの、
普通に歩くことさえままならない状態では、仕事など、まともに
できよう筈がない。


ということで、朝一番から、会社の近くの病院へ診察に行くことにした。
普段は7〜8分で着く道のりを20分以上かけて歩いたのだ。


たどり着いたのは、都内でも有数の大病院だ。
流石に大病院だけあって、朝からかなりの賑わいをみせていた。
それこそ、人の海といえる状態になっていた内科に比べて、僕の受ける
整形外科は、わりに空いているように見えた。
しかし、それでも十数人の人がいる。
僕は受付番号票をもらって、静かに待つこととなったのだが、
待ち時間の間も、アキレス腱の疼きは酷くなってきた。


お願いだ、何とか一刻も早く診察を、と、僕は祈った。
僕のもらった受付番号票の番号は《510》番。
この病院は、電光掲示板で、現在診察中の番号と、その次の番号を
表示してくれる。
整形外科にも、いくつもの診察室があるのだが、先生によって
受け持ちの番号が異なることが読みとれた。


僕を診察してくれるであろう先生は、おそらく、今502番を受け持って
いる先生だ。
僕は、そうあたりをつけながら、今502番ということは、あと8人も
待たなければいけないのかぁ…と軽く溜息をついた。


しかし。そのあとで表示された《次の診察番号》を見て、少し嬉しくなった。
502番の次が、504番となっていたからだ。
そうか、全ての番号が割り振られているわけではないんだよな。
僕は1人で頷いていた。


そして。
502番が終わり、504番の診察が始まることとなった。
電光掲示板の表示が変わる。
僕はその次に表示される番号を刮目した。
まさか505番ではあるまいな、この流れでいったら、506番に決まって
いるだろう。頼むぞ。


そんな僕の思いは、意外な方向に裏切られることとなった。
表示されたのは508番だったからだ。
おぉ!
一気に飛んだぞ。
僕はあまりのうれしさに、痛みを一瞬忘れるほどであった。


つかの間の喜びをかみしめているうちに、508番が診察室に呼ばれた。
電光掲示板の表示が再び変わる。
まさか、これで509番なんてオチではあるまいな。頼むぞ、ほんとに。


そんな僕の願いが叶ってか、次の番号として順当に、僕の510番が
表示された。もう、まもなくだ。


それから、ほどなくして、508番が診察を終え、電光掲示板には、僕を
診察室に呼び出す510番のメッセージが表示された。
おぉ、意外と早いではないか。
まだ、着いてから30分も経ってない。
「病院は忍耐力を養う場所」という認識を持っていた僕にとって、
このスムーズな展開は意外だった。


ということで、診察室へ。
靴下を脱ぎ、先生から患部に触れられると、激しい痛みが再び襲った。
原因については覚えがないこと、朝起きたら急に痛くなってきたこと
などを説明したが、それだけでは判断できないと、先生に告げられた。


そして、至極当然の如く、こう告げられたのだ。
「じゃぁ、レントゲン室でレントゲンを撮ってから戻ってきてください」


そうだよなぁ。
これで終わりだというのはいくら何でも話がうますぎると思った。


レントゲンはスムーズに終わり、その画像を持って、再び診察へ。
僕は、すぐさま電光掲示板の番号を確かめた。


502番。
そして、《次の診察番号》として表示されているのは、504番であった。


なんだ、さっきと同じじゃないか。
ということは、皆、僕と同じように「診察→レントゲン→再診察」と
いうような流れを取っているのだな、と僕は勝手に納得し、そして、
先の展開を読んだ。


504番の次は、飛んで508番になる。それが終われば僕の510番だ。
意外と今回の診察は、全てがスムーズに進んでいるぞ、と、僕は
勝手に考えていた。


504番の診察が始まり、《次の診察番号》として508番が表示された時、
僕は自分の予想に満足して、悦に入っていた。
しかし、これがとんでもない間違いであったことに、その時は気が
つかなかったのである。


ほどなくして、504番の診察が終わり、電光掲示板の表示が変わった。
現在の診察番号は508番。
そして、そのあとから流れてきた《次の診察番号》は、514番であった。


514番?


僕は目を疑った。これはいったいなんなんだ。
この次は僕の510番の筈だろう。なぜ、ここで急に法則が乱れるのだ。
心の動揺に連動するかのように、僕のアキレス腱も再び疼いた。
そして、ここからの時間が、僕にとっては地獄のように長く感じる
こととなったのである。


514番の表示について、間違いではないかと訴え出ようかと思って
いた時、僕はあることに気がついた。
もしかすると、僕が「診察→レントゲン」に行っている間に、新たな
受付が行われた可能性もあるのではないか。
そして、そう考えると、後の番号になっていることの辻褄もあう。
よく考えれば当然のことなのだが、突然のことに動揺して、その時の
僕にはすぐにそこまで頭が回らなかった。


果たしてその予想は正しく、508番の後に診察室へ入っていった
514番は、いかにも新規ですよという顔をしていた。(←どういう顔だ)
それに連動して、電光掲示板の表示が変わっている。
現在の診察番号は514番。
そして、《次の診察番号》は515番と表示されていた。


うぉーっ。また抜かれてしまった。
しかも、今度は「初めての奇数番号」ではないか。
こうも予想できない展開が続くと、その後の状況が僕には全く
読めなくなってしまった。
不安ばかりが大きくなり、時間が刻々と過ぎていく。


たとえ結果的に同じ時間であっても、「先が読めている」場合と、「先が
見えない」場合とでは心理的負担は大きく異なる。
僕は、それまで待った時間と、これからかかるであろう(見えない)
待ち時間の疲労で、ぐったりしていた。
なんだかんだで、レントゲンから戻って1時間は経っていただろうからだ。


頼む。次こそは番号を戻してくれ。先に進んでいかないでくれ。
異様に長い診察を終えて、ようやく出てきた514番に恨みさえ抱き
ながら、僕は祈るような気持ちで掲示板を見つめた。


電光掲示板の表示が変わる。
現在の診察番号が515番と表示され、そして、《次の診察番号》は…
508番と表示された。


508番?


僕は今度こそ本当に目を疑った。
嘘だろ、おい。
確かに番号を戻してくれとはいったが、そこまで戻せとは言ってない。
508番はさっき診察を終えた筈だ。少なくとも、僕がレントゲン室に
いる間に入ってきた新入りではないぞ。
これはおかしいではないか。


掲示板での順番に関しては、メモを取っていたから記憶違いという
ことはありえない。
502番→504番→508番→514番→515番の次が、どうして
(再)508番になるのだ。


これはとうてい納得できないぞ。
こんな展開になるのなら、いったいいつ僕の順番になるのか、
まったくわからないではないか。


僕はメモを証拠に、受付へ訴えることまで考え始めていた。
もしかすると、僕の再受付がなされていないのではないかと
いう可能性もあるからだ。


しかし、僕も一応大人なので、あともう一人だけ待ってみようと
考え直した。
この次が(再)514番であったら、それこそ訴えると心に決めて。


悶々とした気分で、長い、長い時間が経過した。
やっとのことで515番が診察を終えたようだ。
電光掲示板の表示が変わる。
現在の診察番号は、508番。そして、《次の診察番号》は、
夢にまで見た510番であった。


僕は、ようやく暗闇から救い出してもらったような心境で、
掲示板をみつめていた。やっと、僕の順番が来るぞ、と。
逆恨みさえ抱いた508番の診察は、非常に長く続いて
いたが、次が見えているから、今度は何とか辛抱できた。
これが終われば、次は僕だ。だからもう少しだけ、と。


そして。ようやく508番が診察を終えた。
これで電光掲示板の表示が変われば、僕の順番だ。
僕はその長さに溜息をつきながら、掲示板の表示が
変わるのを待っていた。


しかし、事態は予想もつかない展開を見せたのだ。
診察室から突然看護婦らしき人が出てきて、待合室に
向かって、こう告げたのである。


「○○さん、診察室へお入り下さい」


僕は、今度は耳を疑った。
○○というのは、僕の名前ではない。
しかし、呼んでいるのは、僕が待っていた診察室だ。
名前の呼び違えなのか、と、僕が考えつく間もなく、
呼ばれた○○氏は、僕の入る筈だった診察室へ向かった。


いったいどうなっているのだ、これは。
《次の診察番号》という、電光掲示板の表示は嘘なのか。
だいたい、こういった名前での別途指名があるなんて
予告はどこにもなかったぞ。
こんな展開が許されるなら、電光掲示板の表示なんて
何の意味もないではないか。
責任者を出せ、責任者を。


僕はあまりの怒りに呆然としながら、途方にくれて
待合室で、さらに、長い、長い時間を過ごした。
○○氏の診察が終わり、電光掲示板の表示が変わった
ことにも、一瞬気が付かなかったほどだ。


そして、やっと、診察へ。
思えば、この数分間のためだけに、1時間以上の待ち時間を
強いられる病院というのは、本当に凄いと思う。
しかも、待つのは待合室だけではない。
診察を終え、会計をするときも、挙げ句は、薬の処方薬局で
さえ、延々と待たされるのだ。
これだけで体を悪くしてしまう人も出るのではないかと思う。


診察の結果のことも一応書いておこう。
幸い、骨などに異常はなかったが、《アキレス腱付着部炎》という
ことで、5日間の安静と、3週間の運動禁止が言い渡された。
それほど、激しい運動をしているという自覚はなかったのだが、
先生によれば、「本人は大丈夫だと思っていても、そろそろ運動が
体に響く年代になってきていますので、十分注意してください」
とのことであった。


延々とした待ち時間で、精神的に疲弊していた僕の心に、その
言葉は実に重くのしかかってきた。
そろそろ運動が体に響く年代になってきている…かぁ。
僕も歳をとったのだなぁ。鬱。


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