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ランと餃子とデジタルガジェット。ときどき、映画や雑誌の話。言いたいことを言い捨てるブログ。

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700冊のSFマガジンから生まれた、珠玉の記念アンソロジー

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SFマガジン」誌が築き上げてきた700冊の歴史は、とてつもなく重い。
その素晴らしさの一端は、記念特大号に掲載されたアーカイブで感じ取ることができるが、それらは、ルポ、コラム、インタビュウなどの記事を主としたものだった。
700冊の歴史を飾ってきた、小説群の振り返りがないのはちょっと寂しい…という僕のような読者のために、早川書房は、しっかり素敵なプレゼントを用意してくれていた。

記念アンソロジー文庫だ。
SF界屈指のアンソロジストである大森望山岸真が、SFマガジン700冊の中から、厳選に厳選を重ねた作品群。
とにかく素晴らしい!としか言えない。そのラインナップを眺めるだけで、僕はうっとりしてしまうほどだ。
国内篇。

アンソロジー冒頭に、手塚治虫のコミックを据えるセンスが秀抜。そう、SFマガジンの歴史において、コミックは、間違いなく重要な役割を負っていたのだ。
松本零士吾妻ひでおを含め、コミックは全3編。小説は9編、さらに、伊藤典夫のエッセイもスパイスに加え、実にバラエティに富んでいる。
どれもこれも傑作だが、僕のベストオブベストは、もちろんこれ。

筒井康隆「上下左右」だ。
これはとにかく画期的な作品で、まさに筒井先生でなければ書けない大傑作。
見開きが20マスに分割されているが、その1マス1マスは、4階建てマンションの部屋に見立てられており、それぞれの部屋で同時進行に起きる事件が時系列で綴られていく。
各部屋での出来事は、それぞれ無関係なようでいて、そうではなく、最後には…。いやはや、これは本当に大傑作。この1作を読むためだけにでも、この本を買う価値があると思う。
初出はSFマガジン1977年7月号で、2001年6月号に再録。
短編集「バブリング創世記」(徳間書店刊)にも収録されていたが、特殊な版組と文字サイズのせいか、文庫化の際に割愛されてしまった、いわば幻の名作だ。
今回は、トールサイズのハヤカワ文庫だからこそなしえたのかもしれないが、制約を振り切って収録してくれた大森望に感謝。
ただ…惜しい点がひとつ。
僕も、id:flow2005さんのご指摘があるまで気がつかなかったが、「三階、右から二つめの部屋はあなたの部屋です。あなたのせりふを入れてください」という重要な注釈が抜けてしまっているのだ。

SFマガジンに掲載された時にも、扉の惹句に掲載されていたのになぁ…。重版の際には、付記されているように願いたい。
と。国内篇の紹介が長くなってしまったが、海外篇ももちろん素晴らしい。

クラーク、シェクリイといったSF創世記以来の巨匠から、現代SFの先端を行くイーガン、バチガルピ、チャンまでおさえた、完璧な12編。
海外SFに疎くなっている僕でも、全て読んだことがあるビッグネームの作家陣。
オール短編集初収録作品である上に、どの作品も、その作家のエッセンスが十分に詰まった傑作ばかり。
よくぞここまで揃えられたなぁという一言。
国内篇、海外篇とも、厳選に厳選を重ねた作品だなぁということを、あらためて実感した。
永久保存版として、今後、じっくり読み込んでいきたい。
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