僕は、みゆきさんの歌とともに生きてきた。
もしも、中島みゆきという歌手がいなかったら、僕の人生は全く違うものになっていたことは間違いない。
好きな歌手は他にも沢山いるけれど、それぐらい、僕にとって、みゆきさんは特別な存在なのだ。
ランナーとしても、中島みゆきに対する思いは別格。
僕はいつも、みゆきさんの歌に救われながら走っているからだ。
こういうことをラン仲間に話すと、「えっ?中島みゆきの歌を聴いて走るの?」と驚かれる時もある。
確かに、日だまりの中で走ったりする場合、みゆきさんの歌は合わないかもしれない。*1
しかし僕は、寒さや暗さ、そして雨に打たれながらストイックに走ることが多いので、そういった環境においては、みゆきさんの歌が心に染みるのだ。
そんなみゆきさんの存在は、コンサートにおいても、また、特別。
5年前に見た「一会」の感動は、今でも鮮明に残っている。
みゆきさんのコンサートは、チケット争奪戦が実に苛酷なので、参加できないことも多かったから、尚更、感激したことを思い出す。
だから、昨年1月より開始された《ラストツアー》ライブにも、絶対に参加したかった。
なんと言っても、中島みゆきの《ラスト》ツアーなのだ。
もしもこれに行かなければ、みゆきさんファンの名がすたる。
1月、2月の東京公演チケット争奪戦に負けてしまったから、僕は、もう、東京にこだわらず、チケットがとれたら、日本全国どこにでも飛んでいくつもりだった。
ところが…。
コロナ禍に見舞われ、昨年2/28以降の公演は、全て中止となってしまった。
「延期」ではなく、「中止」。
振り替え公演などは一切発表されることなく、発売済みのチケットも、全て払い戻しになってしまったのである。
僕は、全てのチャンスが絶たれ、大いに落ち込んだ。
日本では、今年の秋以降、ようやくコロナ禍が落ち着き、各所でコンサートが再開され始めた。
みゆきさんにとって、永遠のライバルと言えるユーミンも、今年の9月から来年9月にかけて60公演行う「深海の街」コンサートツアーをスタートさせた。
だから、僕は奇跡を祈った。
みゆきさんが《仕切り直し》として、新たに、コンサートツアーを行ってくれるかもしれないと思ったのだ。
前回中止となったチケットは、全て払い戻されているため、ゼロベースでの発売となれば、僕にもきっとチャンスはある!と、祈った。
けれど、その夢は、水泡に帰してしまった。
今月上旬、「ラストツアー」のライブCD発売が告知されたからである。
みゆきさんの所属するヤマハミュージックコミュニケーションズのWebサイトに書かれていた案内を読んでいたら、僕はとても複雑な心境に陥った。
収録曲は文句なし。
Disc-1
1. 一期一会
2. アザミ嬢のララバイ
3. 悪 女
4. 浅い眠り
5. 糸
6. ローリング
7. 流 星
8. 最後の女神
9 齢(よわい)寿(ことぶき)天(そら)任(まか)せ
Disc-2
1. 離郷の歌
2. この世に二人だけ
3. ナイトキャップ・スペシャル
4. 宙 船 (そらふね)
5. あたいの夏休み
6. 麦の唄
7. 永遠の嘘をついてくれ
8. 慕 情
9. 誕 生
10. 人生の素人(しろうと)
11. 土用波
12. はじめまして
「一期一会」で始まり、「はじめまして」で終わる構成は、実に意味深。
デビュー曲の「アザミ嬢のララバイ」、大ヒット曲の「悪女」や「浅い眠り」、そして、「糸」「麦の唄」「慕情」「誕生」などなど、みゆきさんの歴史を辿る集大成的なセットリストになっている。
だからもちろん、そのライブ音源が聞けるのはとても嬉しい。
しかし…。
Webサイトに書かれていた、この記述を読むと、僕は大きな寂寥を感じることになった。
2020 ラスト・ツアー「結果オーライ」』をもって、自身最後のコンサートツアーとなる予定でしたが、新型コロナウイルスの拡大を受け、10都市11会場24公演のうち8公演のみで惜しくも終了。
更に、このラスト・ツアーの再開がないことが決まり、全国のファンが待ち望んでいた貴重なラスト・ツアーはまさに“幻のラスト・ツアー”となってしまいました。
そう。
CDが出るということは、この《ラスト・ツアー》は再開されない、ということに他ならないからである。
《ラスト・ツアー》が完全終了してしまったら、もう、永遠にみゆきさんのツアーを見ることはできない。
そう考えると、僕は思わず泣きたくなってしまった。
これまで何度も僕らを驚かせてくれたみゆきさんのことだから、サプライズで復活してくれる奇跡を信じたいけれど…。
*1:もちろん、合う歌だっていっぱいあるのだけれど、あくまで、一般的な印象として。