JR巣鴨駅から徒歩数分。
僕世代やそれ以上の年配者で賑わう地蔵通り商店街…方面には向かわずに、山手線沿いに大塚方面へ。
地蔵通りとの喧噪とはうらはらに、閑静な道をぶらぶらと歩いて行くと、エキゾチックな佇まいの店が現れる。
店の名は「2833」
僕は、以前からこの場所を知っていたのだけれど、「2833」というのは、ビルの名前だと思っていた。
僕はもっぱら、店舗の営業時間外となる早朝に通り過ぎていたからだ。
例えばニューヨークでも、アッパーウェストサイドなどでは、番地がビル名になっており、それを模しているのかなぁなどと、勝手に解釈していた。
しかし、先日の昼下がり、たまたまその場所を通ったら、僕はそれが大きな誤解だったことに気がついた。
その入口に中華料理の写真が飾られており、ランチメニューもあった。
なんと、ここは中華料理店だったのか。知らなかった。不覚だ。
とにかく洒落ているので、僕にはハードルが高そうだなぁ…と思いつつ、ランチメニューを眺めて見る。
ん?それほど高くないぞ。
ランチメニューだから、ということなのかもしれないが、この値段なら試してみてもいい。
僕は、週替わりメニューの中にある「ハルピン手作り大水餃子」が気になった。
ということで…入店。
この日は、まだ開店時間早々だったということもあり、先客は1名のみ。
僕は、やおらカウンターに座る。
店員さんは、皆、中国の方のようで、厨房では本格的な中国語が飛び交っていた。
接客担当の人以外は、日本語も話せない雰囲気。
ここは完全に大陸系中華の店だったのだ。
およそ大陸系中華店とは思えない、「2833」という店名とオシャレな雰囲気に、僕はちょっと違和感を感じてしまった。(いい意味で)
奥のテーブル席も、綺麗で落ち着いた感じだ。
カウンターに置かれていた「ランチ定食」メニューを眺めてみる。
点心メニューの中に、「一口焼餃子」というものがあって、ちょっと気になった。
ただこれは、単品注文不可で、他の料理と組み合わせる必要があった。
この日の僕にはちょっと重い感じがしたので…。
初志貫徹。週替わりメニューの中から「ハルピン手作り 大水餃子」に決めた。
店員さんからは、「ライスをつけますか?」と言われたのだけれど、僕は「いらないです。」と答えた。
+50円で半ライスがつけられるのは得だけれど、「大」の水餃子が7個もあるなら、ライスは不要だろうと思ったのだ。
本場中国では、水餃子は完全に主食だし…。
と言うことで、僕はこれを注文したのだが、なかなか出てこなかった。
僕の後に入店、注文していた人たちのランチはどんどん出来ているのに、僕の水餃子だけがちょっと時間がかかっている。
でも。それは悪いことじゃない。
本格的な水餃子をちゃんと作ろうと思えば、それなりに時間がかかる筈だからだ。
そして。
待つこと15分ぐらい経ったろうか。
ハルピン手作り、水餃子ランチがやってきた!
ただ…。
そのビジュアルを見て、僕はちょっとしたショックを受ける。
…えっ、この水餃子が「大」なのか?
これが「大」だというなら、大じゃない餃子はどれくらいのサイズだというのだ。
こんなサイズだとわかっていれば、ライスをつければよかったかなぁ。
たぶん、この時点で申告しても、半ライスはつけてもらえたと思うけれど、一度断っておいて頼むのも気が引けたので、諦めた。
テーブル上には調味料が用意されていたけれど、店員さんによると、「しっかり味がついていますので、何もつけなくても大丈夫です。」とのこと。
ということで、そのまま囓ってみると…。
肉汁がじゅわっと染みこんでいて、実に味わい深かった。
囓ると飛び出すようなタイプではないけれど、しっかりと肉に味がついていて、これは美味しい。
皮も、もちもち感はそれほどなかったけれど、この餃子にはそれで合っているきがした。
大陸系の中華店における水餃子は、皮が分厚くて、具もぎっしり詰まったタイプのものがよくあるけれど、この店の水餃子はちょっと違う。
実に優しい、手作り感の溢れる餃子だ。
セットについてきた野菜も、スープ(わかめ&シジミ入り)も良かったし…。
杏仁豆腐も、クリーミーで最高に美味しかった。
欲を言えば、もう少しボリュームがあると完璧だったのだけれど、だったら、小ライスをつければ良かっただけの話。
僕の場合、食べ過ぎると胃もたれしてしまう傾向もあるので、このぐらいがむしろちょうど良かったのかもしれない。
優雅な気分を味わえて、とても良かった。