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日本地理学会「国当てテスト」調査考

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日本地理学会から「国家の位置当てテスト」調査報告が発表された。

日本の大学生の43.5%、高校生の45.9%は、イラクの位置が分からないことが22日、日本地理学会地理教育専門委員会(委員長・滝沢由美子帝京大教授)の初の調査で分かった。米国についても大学生の3.1%、高校生の7.2%が誤答、「中国」や「コンゴ(旧ザイール)」の位置と間違えた例もあった。

 高校で選択科目の地理を履修したかどうかで分けると、履修者はイラクの正答率が61.0%、履修しなかった人は52.0%と差が出た。学会は高校での地理学習拡充や、小中高を通じて地球儀や地図帳の活用推進を提言した。調査は昨年12月から今月にかけ、全国の国公私立25大学で約3800人、新潟県と千葉県の公私立高校9校で約1000人を対象に実施した。

 問題は、世界地図の30カ国に記した番号から、米国、インド、ブラジル、北朝鮮、フランス、ギリシャ、ベトナム、ケニア、イラク、ウクライナの10カ国の正しい位置を選択する形式。大学生全体で最も正答率が高いのが米国の96.9%、次いでインドの96.8%、ブラジル92.8%。最も低かったのはウクライナで54.8%。〔共同〕

この調査報告については、今日の新聞各紙などでも大きく取り上げられている。
概ねその論調は「大学生の4割がイラクの位置を知らない!」というものだった。


これには僕も、最初は驚いた。
あれだけ話題のイラクを、4割もの大学生が知らないとは、と。


しかし、各紙の新聞報道を読み、そして、朝日新聞に掲載されていた調査報告用紙
(地理についての調査票)を見て考えが変わった。
これは、かなり恣意的なテストだということがわかったからだ。


2月23日早朝現在、Webでは、この調査票をWebで見つけることができなかった
ので、そのままのイメージを伝えることができないのは非常にもどかしい。
しかし、僕なりに説明をさせてもらうと調査用として使われたこの地図が
非常におかしいのである。


まず、日本の位置が真ん中ではないのだ。これがそもそも変だ。
この調査で使われた地図では、日本が「右端」、アメリカ大陸が「左端」に
なっていて、それだけで非常に違和感がある。
もちろん、地図は地図であるから、その位置関係が変わる筈はなく、単純に
視点だけの問題なのだけれど、視点が変わるだけでもある程度の影響は
ある筈だ。
「アメリカと言えば、日本から海を渡ってハワイを超えてわたっていく国」と
覚えている人(そんな人いないかもしれないが)にとっては、この地図で
理解することはできない。そもそもハワイが表示されていないのだから。


中島みゆきが「EAST ASIA」で歌っているように、世界の場所を教える地図は、
どれも自国を中心に据えている。
だから、このテストがヨーロッパで行われたとでも言うのなら、それもまだ
理解できるのだが、なぜ、日本で通常使わない形式の地図で調査を行う必要が
あるのか、僕にはとても理解に苦しむのだ。


納得できないことはまだある。
これも、報道記事だけではわかりにくいのだが、実際の調査形式としては、
国の位置をそのまま当てるのではなく、選択式になっている。
世界の国家30カ国に色づけがなされており、そのうち10カ国の位置を
当てるというものである。


これが実は大いに恣意的な臭いを感じる色づけなのだ。
僕が今回の調査結果で最初に思ったのは、「ケニアよりイラクの方が10%
以上も誤答率が高い」ということであった。
ケニアの誤答率33.7%に対して、イラクの誤答率が43.5%もあるのだ。
これは少々妙ではないか。


しかし、これは調査のトリックを知ると変でも何でもなくなる。
まず、以下のリンクから、アフリカの地図を見て欲しい。
http://homepage1.nifty.com/ptolemy/nations/africa/africa.htm


ケニアがアフリカにあるということは、黒人マラソン選手などの
イメージで有名な筈だから、おそらくそれほど迷いはないだろう。
しかし、問題は「アフリカのどこにあるか」ということだと思う。
この調査において、アフリカに色づけされている国は4カ国。
ケニア、エジプト、コンゴ、マダガスカルである。


このうち、エジプトは世界史でも出てくる有名な国で、中東・
ヨーロッパに近い印象があるから誤認しにくい。
マダガスカルに至っては特異な島なので、これは違うということが
わかりやすいだろう。
だから、単純に考えると、「コンゴと間違えるかどうか」だけが
焦点になっていると思う。2択だ。
要は、ケニアがインド洋に面していることさえ知っていれば解ける
問題になっているのである。


おそらく、近隣のタンザニアやエチオピア、ソマリアあたりが
選択肢にあったとすれば、相当に誤答率は高まったのではないか。
逆に、コンゴが選択肢になければ、誤答率は非常に低かったのでは
ないかと、僕は推測する。


対してイラクはどうか。
これも、以下の地図を参照して欲しい。
http://homepage1.nifty.com/ptolemy/nations/asia/asia.htm


この地図で、いみじくも「中東地域拡大図」という形で表示
されてるように、中東は入り組んでいてわかりにくい。
今回の回答者にとっても、イラクが中東にある、という点に
ついてはそんなに迷いはなかったのではないか。
問題は、中東のどこにあるか、という点で、それだけに選択肢
が重要になってくる。


この調査で使われた、中東の選択肢は、イラン、イラク、そして
サウジアラビアの3カ国。
これだけ書くと、たった3カ国と思われるかもしれないが、
広い意味で中東地域と言っていい筈の、近隣エジプトやパキスタンも
選択肢として含まれているし、トルコやカザフスタンだってそれほど
遠くはないから、地図上は非常にごちゃごちゃして紛らわしいのだ。
すっきり2択のアフリカ大陸とはエライ違いなのである。


何より今回のポイントは、イランの存在だろう。
中東の大国といえば、イランとイラク。
この2国は名前自体も似ているが、その宗教や主義主張に至るまで、
かなり似通った部分が多い筈である。
両国は、たびたび紛争も起こしているのだから、対立関係も強く、
単純に類型化するのは非常に問題だと言うことはわかっている。


ただ、多くの日本人にとってみれば、「中東の大国」という大きな
括りの中で、イラクとイランを間違えてしまうのは、ある程度
仕方がないのではないかと思うのだ。
だから、今回のテストでも「イラクをイランと誤答したなら」
そんなに大きな問題はないのではないか、と個人的には感じている。
テストでは解けなくても、実際に自分の中でイメージはできており、
世界地図で近隣の国家と照らし合わせていけば正解にもたどりつける
と思うからだ。


僕は思う。
このテストが、日本地理学会による《地理教育の推進》を目的とした
ものである以上、その結果には大いに恣意的な意図が含まれているの
ではないかと。


だから、「イラクの誤答率を他国に比べて際だたせるため」に、あえて
わかりにくい地図を使い、中東地域の選択肢を難解にしたのだ。


結果、これだけ各紙に取り上げられているのだから、作戦としては
成功なのだろう。
しかし、僕の気持ちの中では《調査結果の裏側》の方が印象深く残り、
どうにも後味の悪さだけが残っている。


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