80年代への郷愁が止まらない。
週刊FM「ニューミュージック'80」を久しぶりに読んで、子供時代に還った僕は、この雑誌に辿り着いた。
「ポンプ」だ。
僕は、数年前から始めた断捨離で、古い雑誌は殆ど処分してしまっていたのだけれど、これは、捨てきれずに残っていたもののひとつ。
それぐらい、僕にとって、思い出深い雑誌である。
この雑誌は、【おしゃべりマガジン】というサブタイトルがついており、100%読者投稿で成り立っているというのが大きな特徴だった。
「ポンプ」は、1978年創刊し、1985年に終刊している。
日本でインターネットが普及し始めるのは1990年代後半だから、「ポンプ」が存在したのは、その10年以上前。
そんな時代に、《自分の思いを訴えたい》《意見を言いたい》《発信したい》《面白さを伝えたい》と感じていた人たちのニーズを、この雑誌は、大いに満たしてくれていた。
ボイスプールと呼ばれる、フリートークページがメインとなっているけれど、それだけじゃない。
毎月、編集部から、さまざまなテーマが募集されており、それに基づく特集も多数。
時には、夜食に関して激論を戦わせたり…。
ユーミン派VSみゆき派の意見が並んでいたり、特集テーマは多種多彩。
それに伴う意見も、これまた多種多彩で、実に面白かった。
このあたりは、匿名掲示板やTwitterの《まとめサイト》を読んでいるような面白さに繋がっていると思う。
どのページを眺めてみても、皆、好き勝手に自由奔放な意見を述べていて、最高。
投稿者の人たちは、僕にとって、誰もが皆、他人なのだけれど、世の中にはさまざまな考え方の人がいて面白いなぁと、毎月読み耽っていた記憶がある。
これはまさに、2ちゃんねるやTwitterの先駆けと言えるような雑誌だったんだなぁと、個人的には思っている。
「ポンプ」の掲載原稿は、手書きで募集されていた。
毎月の誌面に綴じ込まれているレポート用紙や原稿用紙に書き、それを封筒の形にして、ミニレター形式で編集部に郵送するシステムだ。
郵送による投稿形式は、今でも存在はしているものの、現代においては、メールやFAXが主流だろう。
しかし、「ポンプ」の時代は、メールはおろか、FAXさえも普及しておらず、郵送のみ(!)だったというのが、凄い。
それでいて、毎号、さまざまな意見で盛り上がっていたのだから、時代を感じる。
僕も、何度か原稿を書いて応募したことがあるのだけれど、残念ながら没だった。
まぁ、あの頃の僕は、(いや、今の僕も、)面白くないことしか書けないので、没になるのは当然といえるのだけれど。
あぁ…。
僕は当時浪人生だったのか。
あの頃、ろくに勉強もしないで、「ポンプ」にのめりこんでいたんだなぁ…。ダメダメだ。