iPhone Airは、シリーズ史上最薄という革新を果たしたモデルだ。
厚さ5.64mmという数字は、これまでのiPhoneの常識を覆すものであり、手にした瞬間に「斬新さ」「異質さ」を感じさせる存在である。
しかし、その一方で弱点も目立つ。
価格は16万円近くと高額ながら、カメラは単眼、スピーカーはモノラル、バッテリー駆動時間も短い。
軽量化は達成したが、iPhone SEシリーズより重い。
大画面であることを考えると超軽量ではあるが、ユーザーの期待を裏切ったと感じる部分も少なくない。
ではなぜAppleは、ここまで割り切った仕様でAirを世に出したのか。
その答えは…。
実は「折りたたみiPhone」への布石にあるのではないだろうか。
iPhone Airを、一代限りの実験モデルと捉えるならば、その存在意義はまったく違って見えてくる。
今回は、その点について考えてみたい。
- Galaxy Foldシリーズ ― 究極の薄さを完成させた存在
- iPhone Airがもたらしたヒント
- Airの弱点は折りたたみで克服できるのか?
- iPhone Airは“一代限り”の実験機なのか
- iPhone Fold(仮)の薄さ予想
- 結論
Galaxy Foldシリーズ ― 究極の薄さを完成させた存在
折りたたみスマートフォン分野における、圧倒的な先駆者と言えば、SAMSUN。
そんなSAMSUNが、初代 Galaxy Foldを発売したのは2019年。
なんと、今から6年も前に遡る。
その後毎年改良が重ねられ、今年、 7代目となる革新モデル、 Galaxy Z Fold7 が登場した。
このFold7は、折り畳んでも 8.9mm、展開時には 4.2mm という極限の薄さを実現。
「厚くて重い」という折り畳みスマホの弱点を完全に克服し、シリーズとして完成された感さえある。
日本での売れ行きは今ひとつだが、世界市場では絶好調とのこと。
折りたたみスマートフォンが、「ニッチな実験機」ではなく一般的な選択肢へと進化したことを示している。
iPhone Airがもたらしたヒント
そんな最中、AppleがiPhone Airを発売したことは、大きな意味がある。
今回のAirには、次世代の折りたたみiPhoneへつながるヒントが数多く埋め込まれているのだ。
- 厚さ5.64mm/165g → 超薄型設計の先行実験
- 高密度リチウムイオン電池*1→従来型ながら、限界まで小型化・高密度化されたセルは、折りたたみ時代に必須のノウハウ。
- チタニウム筐体 → 軽量かつ高強度。ヒンジ構造を補う強度確保にも応用可能
こうした要素は、折りたたみiPhoneにとって不可欠な技術ばかりだ。
Airは「超薄型設計」を先行実験したモデルであり、折りたたみ時代を見据えた布石なのだ。
Airの弱点は折りたたみで克服できるのか?
iPhone Airは、超薄型でデザインも性能も優れているが、3つの大きな弱点がある。
- モノラルスピーカー
- 単眼カメラ
- バッテリー容量の少なさ
この点に不安を覚えて、買い控えた人もいるだろう。
しかし、折りたたみiPhoneでは、これらはむしろ克服されやすい。
- スピーカー → 左右分離構造を活かせば「真のステレオ」を実現可能
- カメラ → 展開時の大画面利用を前提に、Pro並みのマルチカメラシステムを搭載しやすい
- バッテリー → 本体の広い面積を活かし、大容量セルを分割して配置できる
つまり、Airで制約となった部分こそ、折りたたみ構造では得意分野になり得るのだ。
iPhone Airは“一代限り”の実験機なのか
もうひとつ見逃せないのが、その ネーミングだ。
今回同時に発表された新モデルは、「iPhone 17」を冠しているのに、Airだけは「iPhone 17 Air」ではなく 「iPhone Air」 と命名された。
この点は象徴的で、Airがシリーズに定着するモデルではなく、一代限りの“実験機”である可能性を示唆している。
Appleが本当に狙うのは、その先にある「折りたたみiPhone」ではなかろうか。
iPhone Fold(仮)の薄さ予想
折りたたみiPhoneはどこまで薄型化できるのか。
SAMSUNと比較すると、断然後発となるだけに、「史上最薄」とならなければ、インパクトがない。
だから、意地でもFold7(8.9mm)を超えてくる筈。
個人的には、8.5〜8.8mm程度 になるのではないかと予想する。
かなり厳しいハードルだと思うけれど、Airで培った「超薄型設計技術」と「チタン筐体」のノウハウが加われば、決して夢ではないと信じる。
結論
iPhone Airは、単なる超薄型スマートフォンではない。
それはAppleが次に狙う「折りたたみiPhone」へ向けた挑戦であり、実験モデルだと考えると得心がいく。
Airで露呈した弱点は、折りたたみという構造でむしろ強みに変わる。
そして、次に登場するであろう iPhone Fold (仮)は、Galaxy Foldシリーズを超え、折りたたみスマホの新しい基準を提示する可能性がある。
僕はそれに期待したい。

*1:シリコンカーボンの噂もあったが未採用と見られる

