「没後20年 真鍋博2020」会場の売店では、展示にまつわる、さまざまな関連商品が発売されていた。
展示内容を見て感服した僕は、それらの商品群も大いに気になった。
トートバッグ。
ブックカバーやしおり。
ポストカード。
なんと、お酒まで販売されていた。
その他、関連書籍やクリアファイルなど、さまざまなものが並んでいたけれど、僕がとりわけ惹かれたものは、これ。
《電気羊》のガレージキット(レジンキャストなどの樹脂で少数生産される組み立て式の模型)だ。
これは、フィリップ・K・ディックの名作、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(ハヤカワSFシリーズ版)表紙装画をモチーフにしたものになっている。
そしてこの本の表紙装画を描かれたのが、他ならぬ、真鍋博先生なのである。
ハヤカワSFシリーズ版の「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」は、遙か昔に絶版。
現在流通している文庫版は、全く異なるイメージの表紙になってしまっているため、このSFシリーズ版は、非常にレアで貴重。
古本市場でも、数千円以上で取引されている超人気商品となっている。
僕は、残念ながら未だ入手できていないが、この作品には強い思い入れがあるので、いつかは入手しようと思っていたものだ。
そんな《電気羊》のガレージキットだから、これは実に貴重。
ということで、SFマニアの間でも人気になり、初回販売分はあっという間に品切れとなってしまったようだ。
僕が訪れた日は、ちょうど追加分の入荷があったため、僥倖にもゲットすることができた。
商品購入時、僕があまりにも感動し、電気羊の写真を撮りまくっていたため、売店の店員さんは、「あちらで写真を撮りますか?」と声をかけてくださった。
あちらというのは…。
会場内、売店のすぐ脇にあった、撮影用のスポット。
その場所で写真を撮ると、「真鍋博2020」のポスターと松山城のコラボレーションを、同じフレームに納めることができる。
そう、こんな感じ。
店員さんは、「電気羊と松山城を一緒に撮ることができるんじゃないですか?」ということで、僕に提案してくださったのだ。
なんという素晴らしい店員さんなのだろう。僕は、心から感謝して、その提案に飛びついた。
ということで、店員さんは、「真鍋博2020」ポスターの前にあったベンチの上に、《電気羊》を配置してくださった。
僕は、それと松山城がともに収まるアングルを模索し、最終的には、半ば寝っ転がるような状態で、撮影したw
それが、この写真だ。
個人的には、時空を超えて巡り会った奇跡のコラボレーションだと思っている。
悲しいかな、iPhone SEのカメラは非力で、うまくピントが合わなかったのが、ちょっと残念だけれど、でも、撮影できただけで嬉しい。
店員さんは、横からルーペをかざしてくれたりした。
拡大すると、真鍋博先生が描いた電気羊の緻密さが、より強く伝わってきたものの、松山城がさらにボケてしまったのが惜しいところ。
そして今、ガレージキットは我が家にある。
まだ組み立ても加工もしていないため、公式図録やポストカードの原画とは、かなりイメージが異なる。
僕は工作が苦手なので、どこまで近づけられるか自信はないのだけれど、じっくり時間をかけて仕上げていきたい。