今から1年前。いや、半年前でもいい。
世界がこんな状況になってしまうことを、予想した人などいるだろうか。
COVID-19。新型コロナウイルスと呼ばれる脅威が、まさか、全世界に降りかかってくるなんて、いったい誰が想定していただろう。
日本では、奇しくも今日、全国的に緊急事態宣言が解除されることになったが、それは決して、コロナの終息ということではない。
第二波が来る可能性は十分あるし、世界的に見れば、今もなお、ウイルスは猛威をふるっている状況だ。
さながら、破滅系SF映画のような様相で、しかし紛れもない《現実》だということに、僕は恐怖を感じずにはいられない。
日常がSFになってしまった影響は、なんと、日本におけるSF雑誌の雄「SFマガジン」に及んだ。
本来、4月25日発売予定だった「SFマガジン 2020年6月号」が、1ヶ月先へタイムスリップしてしまったのだ。
実を言うとこれは、自粛指示の影響により編集作業ができなくなり、《発売日がひと月遅れになった》ためであるらしい。
しかしそれを、SF用語で云うなら、タイムスリップになる。(←ならないってのw)
ということで、僕は今日、時空を超えて発売された(?)SFマガジンをゲットした。
今号のメイン企画は、「英語圏SF受賞作特集」で、読み応えがありそうな作品が並んでいる。
しかし個人的には、それよりも、この緊急企画が注目だった。
錚々たるSF作家たち11人が、同誌に寄せたエッセイ。
「コロナ禍のいま」だ。
エッセイ…となっているが、その内容は、単なるエッセイにとどまっていない。
それぞれたった1ページなのに、まるで壮大なSF作品を読んでいるかのようなイマジネーション。僕は思わず唸ってしまった。
また、今号の巻頭には、ベストセラー「三体」の著者である劉 慈欣氏からの特別メッセージも掲載されている。
いやぁ、実に力強く、元気が出るメッセージだ。
今はまだ、終わりが見えないSF的な日常が続いているけれど、どんなSF小説にも、終わりはある。結末はある。
今はただ、1日でも早く、この脅威が消え去ることを、人類が克服できることを信じたい。