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【永久保存版】「本の雑誌」目黒考二/北上次郎/藤代三郎 追悼号…。

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本好きならば誰でも、「解説/北上次郎」となっている文庫本を読んだことがあるだろう。

読者目線で実にわかりやすく、そして、熱い解説が、実にさまざまな本の巻末を飾っている。

文庫解説だけじゃない。文芸誌の書評コーナーなどにも「北上次郎」の名前は頻繁に登場。

僕が愛読している「ミステリマガジン」でも、今年の3月号まで《勝手に文庫解説 2》という素晴らしい企画が連載されていた。

これは、北上次郎先生(以下敬称略)が、自身お気に入りの文庫について、依頼を受けていないのに勝手に解説をするという画期的な企画だ。

タイトルに《2》がついている通り、前回好評だった企画の第2弾。

だから僕は、最終回と言っても、ちょっと充電した後に《3》が始まるのでは…と軽く考えていた。

しかし…。

そんなミステリマガジン発売日である1月25日の夜、僕は衝撃的なニュースを目にする。

なんと、その6日前に、北上次郎がこの世を去っていたというのだ。

僕は、そのニュースを知った時、思わず「嘘だろ」と叫びそうになってしまった。

肺がんが発覚して、わずか1ヶ月であっという間に亡くなったとのこと。

あんなに元気で精力的だった人が…。本当にがんは恐ろしい。

《北上次郎》というのはペンネームで、その本名は《目黒考二》。

この名前もまた、本好きには広く知られている。

椎名誠先生(以下敬称略)とともに、「本の雑誌」を作り上げた名編集者であり、発行人だ。

僕は、若い頃この2人(に、沢野ひとし、木村晋介の各先生を加えた4人)のやりとりが大好きで、「本の雑誌」を貪り読んでいたことを思い出す。

そんな「本の雑誌」を、僕は今回、久しぶりに購入。

本の雑誌479号 2023年5月号

そして…思わず泣けた。

《さらば友よ!》の題字を書いたのは、目黒考二の戦友である椎名誠。

椎名誠は、巻頭エッセイで、「本の雑誌が創刊した夜」のことを綴っている。

その淡々とした筆致が、大事な友を失った喪失感を醸し出していて、胸を打つ。

巻頭グラビアでは、6ページにわたって、目黒考二/北上次郎の書斎を紹介。

まさに圧倒的な本、本、本。

凄まじい読書量に裏打ちされた、さまざまな名解説が脳裏に甦ってくる。

でも、もう、今後、そんな素晴らしい解説が語られることはないのだ。

今号の目次は、《目黒考二編》《北上次郎編》《藤代三郎編》に分かれている。

目黒考二は、競馬エッセイスト《藤代三郎》という顔も持っていた。

競馬好きにとっては有名で、僕も、競馬好きだった頃、「週刊ギャロップ」の連載エッセイを貪り読んだ記憶がある。

そんなギャロップのエッセイである「馬券の真実」は、1993年10月の創刊号から、昨年12月25日の有馬記念号まで、約29年間、1504回、1度も休むことなく掲載されてきた。

その間、目黒考二名での編集業や、北上次郎名での解説業をこなしながらの記録なのだから、これは驚異的ではないか。

連載最後となった回では、身体の不調を訴え、「健康であれば、それだけでいいのだ」と綴っている。

いやぁ、これはもう、ほんとに泣ける。

今回の「本の雑誌」では、そんな《藤代三郎》へ、競馬界の重鎮である井崎脩五郎や亀谷敬正からの追悼文が寄せられている。

あぁ、競馬界においても、重要な人を失ってしまったのだなぁ…。

広告ページも圧巻。

なんと、16ページにも及ぶグラビアで、各社から北上次郎への追悼が寄せられているのだ。

新潮社、講談社、集英社、光文社、文藝春秋、KADOKAWA、中央公論新社、早川書房、幻冬舎…。

文庫発刊大手の出版社が、挙って、自社の文庫本に寄せられた北上次郎の解説を引用しながら、その死を悼んでいる。

出版界、文庫解説において、北上次郎という存在がいかに大きかったかということがわかる。

北上次郎が解説を行った文庫本(合計423点!)の全点リストも掲載されている。

今更ながら、その多種多彩ぶりに驚愕。

僕の持っている文庫本も数多くあったので、このリストを見ながら、あらためて解説を読み直してみようと思う。

版権の壁で難しいかも知れないけれど、この解説だけで1冊の本にしてくれないかなぁ…。

本の雑誌479号2023年5月号
 
 
 
 
 

amazonでは、発売直後に品切れとなってしまったが、現在は、また入荷しているようだ。

ただ、雑誌という体裁なので、今後また品切れになると入手困難になる可能性が高い。

本好きならば、絶対に入手しておきたい永久保存版なので、早めのゲットがお薦め。

 


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