映画の舞台は、ベルリンオリンピック。
まさに、今、五輪のまっただ中、しかも、ランナーの話となれば、大いに興味が湧いた。
公式Webサイトの内容も…。
予告編も、とても面白そうだった。
ということで、ロードショー公開初日の昨日、山の日に鑑賞。
映画のキャッチコピーは、「逆境に打ち勝った〈四冠メダリスト〉ジェシー・オーエンス、勇気の実話」となっている。
僕は、恥ずかしながら、ジェシー・オーエンスというアスリートも、ベルリンオリンピックでの快挙も知らなかったが、そのコピーを読むだけで、結末は想像できた。
虚構と現実が錯綜するようなストーリーのシン・ゴジラと違って、これは実話ベースの物語。ネタバレも何もない。
ストーリーが「読めて」しまうような物語だと、2時間超の上映時間は、ちょっと飽きるかも…?と思いながら臨んだのだけれど、それは、大いに誤解だった。
固唾を呑みながら、気がつけば、あっという間の134分。
これは、実によく出来た映画だと、僕は唸った。華やかなオリンピックの光と影を、如実に感じて震えたほど。
映画の舞台が、1936年のベルリンオリンピックというところが、大きなポイント。
第二次世界大戦が始まる3年前。当時のドイツは、ヒットラーによるナチス政権に彩られ、オリンピックにおいても、政治的な思惑が大いに絡んでいた。
そんな状況で、「アメリカ」の「黒人」である「ジェシー・オーエンス」の立場は…。
そう、レースにおけるジェシー・オーエンスの速さや強さは、単なるドラマの一環に過ぎなかったのだ。
これは、オリンピックでの勝敗を超えたところに、別の大きなドラマが控えている映画だった。
ドイツ国家、アメリカ国家、黒人、白人、ユダヤ人…。さまざまな状況がぶつかりあい、交錯しながら、進んでいく展開は圧巻。
ジェシー・オーエンスが「黒人」でなければ、舞台が、当時の「ドイツ」でなければ、この感動は、きっと生まれなかっただろう。
それだけに、この実話は、非常に大きな感動をもって、胸に迫ってきた。
エンドロールの直前、本物のジェシー・オーエンスの画像とともに、「レース後」の出来事が淡々と綴られる。
実話ベースの映画では、お馴染みの手法だけれど、僕は、それを見て、胸が苦しくなった。今となっては信じ難いけれど、本当に、つらく厳しい時代だっただなぁ…と。
パンフレットも、もちろん購入。
映画本編の紹介とともに、ジェシー・オーエンスの実際の姿、そして経歴も紹介されていて、非常に興味深い内容になっていた。
いつか、機会がとれたら、ジェシー・オーエンスの自伝も読んでみたいと思う。
※はてなブログ 今週のお題「映画の夏」
走ることは、生きること―五輪金メダリスト ジェシー・オーエンスの物語―
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