今月初旬。
僕は、荒川河川敷をひたすら北上するランニングを行なった。
天気は秋晴れ。
ランニングにはうってつけの陽気で、秋ヶ瀬公園までは最高に気持ちよく走れた。
この日の目標は、30kmLSD。
秋ヶ瀬公園は、ちょうどその真ん中、15km地点に位置しており、絶好の中間エイドだった。
トイレを済ませ補給食もとって、万全の状態で後半戦を迎えられる筈だった。
…が。
良かったのはそこまで。
秋ヶ瀬公園を抜け、僕にとって未知の世界となるコースに入ってからは、大きな苦難が待っていた。
道に迷って彷徨った挙句、ぬかるみだらけの道とゴルフ場に翻弄され、疲労困憊。
結果的に35kmも走ることになってしまった。大誤算だ。
そんなにつらかったのなら、途中でやめれば良かったじゃないか。
当初の予定と違うコースになったとしても、30km地点でランニングを終えれば、それで30kmLSDにはなるじゃないか。
そう思われるかも知れない。
しかし僕には、そう簡単にやめられない事情があった。
この日、僕はあてもなく北上していたわけではなく、れっきとしたフィニッシュ地点を決めていたからだ。
それがあったから、僕は走るモチベーションを保てたと言ってもいい。
30kmを過ぎたころは、気温もぐんぐん上がっていて汗だく。
以前の僕ならそれでも余裕だったが、ここ最近は、20kmでもかなりのロングランに感じていたので、身体は悲鳴を上げ始めていた。
それでもなんとか気力体力を振り絞り、僕はようやくここに辿り着いた。

さいたま清河寺温泉。
風情がある佇まいと、心休まる暖色の暖簾を見た時、僕はちょっと胸が熱くなってしまった。
あぁ、これで癒される。疲れがとれる。そんな思いで満たされたからだ。
着替えの服は、ずっと背負って走っていたリュックの中に入っているから、入浴後は、それに着替えてすっきりできる。
トレーニングとリフレッシュを両立できるから、ランニング後の温泉は本当に素晴らしい。
そしてここは、これまで僕が訪れた温泉の中でも、屈指の施設だった。
露天風呂はすべて源泉で、かけ流し3種類の他に、つぼ湯・寝湯・寝ころび湯もあって文句なし。
竹林に囲まれたシチュエーションも素晴らしく、温泉に浸かっているだけで、身体の疲れが抜けていく気がした。
内湯もこれまた素晴らしい。
源泉を加温・循環した高濃度炭酸温泉に加えて、多種多彩なアトラクションバス(リラクゼーションバス、ジェットバス、座マッサージ、シェイプアップバス、スーパージェットバス)があって、身体の隅々までほぐしてくれる。
この日は、僕は入らなかったが、もちろんサウナもちゃんとある。
僕は、ゆったりのんびり温泉に浸かりながら、この日のランを回想していた。
あぁ、フィニッシュ地点をここにして、本当に良かったなぁ。
そんな思いでいっぱいだった。
館内の施設も充実。
広々とした食事処の他に、畳の休憩所、うたた寝所、コワーキングスペースまであって、1日のんびり寛げそうだ。
ここは絶対にまた訪れよう。そう思った。
ルートをしっかり組み直せば、今度こそ30kmランで済む筈。
ロングラン後の安住の地として、僕の定番コースにしたい。

