餃子ランナーは電子機器の夢を見るか?

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走ってない…のに寒気がしてきた、「サロマ2018」ワッカの過酷

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今年のサロマ湖100kmウルトラマラソンでは、大きな記録が誕生した。

1998年に、砂田貴裕氏が同レースで記録したタイムが遂に破られたのだ。

この記録は、100キロレースの世界記録でもあったので、20年ぶりに、世界100kmマラソンの記録が更新されたことになる。

優勝した風見尚氏はもちろん凄いが、逆に、20年間も破られなかったことで、砂田氏の凄さが、あらためて浮き彫りになったのではないかと思う。

かつて、山中湖ロードレースに向かうバス*1の中で、砂田氏から伺った話が甦ってくる。

マラソンは、メンタル7割、実力3割。諦めなければ挽回するチャンスはある

この発言は、大きな金言のひとつとして、僕の心に刻み込まれた。

距離が長いレースになればなるほど、メンタル面は重要。

短いレースに比べて、相対的に、心が折れそうになる時間が増えるからだ。

だから僕は、これまでのサロマで、この言葉を噛みしめながら走っていた記憶がある。

しかし、僕のメンタルは、去年のサロマで折れた。

激しい風雨を受け続けたことで、身体が震えて動かなくなり、低体温症を発症。60km地点を越えたところで、自らリタイアを宣言したのだ。

風雨への装備が不十分だったという問題はあるけれど、でも、それ以上に、僕はメンタルが弱かった。

フル距離を超えてからは、リタイアすることばかり考えていたからだ。そんなメンタルで、100kmという距離を乗り越えられる筈がない。

もしも僕のメンタルが、もっと強ければ、走り続けることで身体が暖まり、完走できていたかもしれない。

そう考えると、自分の弱さを、あらためて思い知る。

サロマでは、一昨年のレースでも、リタイアが頭によぎった。

去年ほどではないが、一昨年のサロマも、雨と低温に悩まされたレースだった。

ただ、僕は何とか頑張り、80km地点過ぎのワッカ原生花園まで辿り着く。

ワッカは、サロマウルトラの花形。そこまで80km走り抜いてきたランナーへのご褒美ゾーンだ。

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コース | 第33回サロマ湖100kmウルトラマラソン 

折り返しコースなので、ラン仲間たちとすれ違って健闘をたたえ合えるし、もしも晴れていれば、絶景の情景で癒やされる。

あの時に見た感動の情景は、今でも鮮明に覚えている。

しかし、そんな情景の素晴らしさに酔いしれ、癒やされることができるのは、「晴れていれば」「気候がよければ」という時の話。

オホーツク海を望むワッカは、吹きっさらしの道が続くため、いざ天候が崩れると、一転して過酷なコースに変貌する。

だから僕は、一昨年のレースで、こんな心境にまで追い込まれた。

寒すぎる、冷たすぎるワッカの気象条件は、最悪だった。

雨風に打たれながら、何とか歩を進めた。早くこの地獄から逃れたい一心で、できる限り走ろうとした。しかし、身体が震えて、思うように進めない。

本当に、心底きつかった。「サロマは今年でやめよう。いや、もう今年も止めよう」とまで思った。それほどまでに、僕の心はうちひしがれていたのだ。

2016サロマ湖100kmウルトラマラソン、反省と教訓 

タイム的には、歩き続けても余裕でゴールできる状況だったので、後は、メンタル面の問題だけ。

そんな僕を支えてくれたのは、ワッカですれ違ったラン仲間たちだった。仲間たちの声かけに大いに救われ、この年は、何とか完走できたと思っている。

もしもワッカがすれ違いコースではなく、一本道だったら、僕の心は折れていたかもしれない。

去年は、そんなワッカにさえ辿り着くことができなかったので、僕は大いに落ち込んだ。

だから、今年はリベンジの年…になる筈だったのだけれど、諸般の事情で出走できなくなったため、僕は、ラン仲間たちの声援に気持ちを切り替えることにした。

サロマ当日のエントリーでも書いたように、facebookのタイムラインには、レース中の写真などが自動的に流れてくる。

僕は、そんな仲間たちの楽しそうな表情を見て、嬉しい気分に浸った。

今年のサロマは、天気が良さそうで、皆の笑顔も、日差しを受けて光り輝いているように見えた。

ところが。

レースがスタートして10時間を超える頃、サロマの舞台は、ランナーたちに過酷な試練をぶつけてきた。

ワッカにおける、猛烈な暴風雨だ。

そのとき、ワッカを走っていた友人の言葉を借りれば「リアル八甲田山ばりの雨と風」で、低体温症になりかけた、とのこと。

自動送信されていたfacebookの写真でも、風雨の状況が伝わってくるほど、もの凄い気象状況。

その友人の話では、レース前半は「かぶり水をするくらい」の暑さだったというのに、いきなりの変貌は、身体に応える。

しかも、ただの身体じゃない。

そこまで80km超を走り続けている身なのだ。その状態で、リアル八甲田山になるのは厳しすぎる。

僕は、その話を聞き、今年のサロマを走っていないのに、寒気がしてきた。一昨年の、そして去年の悪夢が脳裏に浮かぶ。

いくら防寒対策を万全にしていようが、心が折れてしまっては、もう、先には進めない。

今年、もしも僕が出走できていたとして、そして、何とかワッカまで辿り着けたとして、そんな過酷な状況を乗り切れるメンタルを持てたがどうか。どうにも自信が持てずにいる。

メンタルを鍛えないとなぁ…。 

 

 

*1:ラフィネランニングスタイル主催のツアーバスで、砂田貴裕氏がゲスト参加されていた。


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