日本で、BlackBerryと言えばdocomo。
今は昔、docomoでは、2009年から8年間、BBを独占して取り扱ってきたからだ。
ただ、その間、docomoにおけるBBの扱いは、あまりに不当なものだった。
このCMを流された時は、あまりの意味不明ぶりに呆れた。正直、「まともに売る気があるのかよ!」とまで思ったほどだ。
サムライ(?)たちの挙動が謎すぎるし、そもそも、BlackBerryは仕事専用のスマホじゃない!と、僕は大いに憤慨したことを覚えている。
しかしそれでも、docomoブランドとして扱い続けてくれることに意味がある、と思って、僕はグッと我慢した。
9000⇒9700⇒9780⇒9900。
僕は、docomoから細々と発表されるたびに、端末を乗り替え続けてきた。
どれもこれも、僕にとっては思い出深く、忘れられない端末たちだ。
しかし…。
それもついに終わってしまった。
2017年を最後に、docomo版のBlackBerryは、ほぼ使用不能となってしまったからである。
docomoは、BlackBerry Boldシリーズを運用するのに不可欠な、BIS*1を終了させ、BBの取り扱いも停止させた。
日本における、BlackBerry端末の終焉だ。
その後、BlackBerry は、BIS不要の新OSを搭載した端末が主流となり、SIMフリー機として、活用できるようになった。
ただ、時すでに遅し。
BlackBerryが迷走を繰り返しているうちに、BBは、日本からほぼ姿を消し、世界的市場でも、iPhoneとAndroid端末に追いやられ、シェアを大きく落としてしまっていた。
そして。
2013年に、BlackBerry OSは開発中止となり、以降はAndroidをOSとする端末に生まれ変わる。
2016年には、Blackberry社が開発・製造から撤退。
BlackBerryというブランドは、中国のTCL集団などに身売りされ、その名前だけが残る形となった。
さまざまな紆余曲折があったものの、一応、「物理Qwerty搭載のAndroid」という形で生き残ってくれたのは嬉しい。
かつてのBlackBerryとは似て非なるもの、ではあるけれど、僕は今でもBlackBerryを愛している。
だから、BlackBerry Classic⇒KEYOneと使い続けてきているのだ。
KEY2日本版が発表された際は…。
悪名高い「あの」Simejiが搭載されるということで大いに動揺。それならば見送るつもりだった。
しかし、後にそれは誤報であるということが判明したため、僕は、日本版の正式な発表を期待していた。
当初は7月に発表される筈だったと思うのだけれど、日本語入力問題の調整(?)に時間がかかったのか、遅れに遅れた。
昨日、8月31日。それは遂に、満を持して発表された。
KEY2は、さまざまな販路での発売が告知されていたが、その中に、なんと、こんなプレスリリースがあり、僕は大きく驚愕する。
「au +1 collection」からBlackBerry最新端末「BlackBerry® KEY2 Black」を9月7日より発売!
auから発売!
これが驚かずにいられるものか。
前述させていただいたように、日本では、「BlackBerry=docomo」というイメージがあったため、僕にとっては、まさかの展開だ。
ただ、よく考えてみれば、それは不思議なことではなかった。
今のBlackBerryは、BISが関係なくなっているため、かつてBISを取り扱っていたdocomoに縛られる必要もないからだ。
僕は、「auやるじゃないか。docomoを出し抜いたな。」と思いながら、その販売ページを眺めてみると、僕の想定とはちょっと違うことが判明した。
auから発売…と言っても、それは、docomo時代とはまるで異なる状況だった。
販売形態の詳細を確認し、僕は再び愕然とする。
BlackBerry KEY2は、「au +1 collection」というジャンルにて販売されていた。
auオンラインショップに掲載されている「au +1 collection」の説明を読むと…。
スマホ向けのカバー、イヤフォン、充電器をはじめ、スマホライフを楽しむ為のau公式アクセサリーです。
おい!こら!なんでアクセサリーやねん!
僕は思わずツッコミを入れたくなった。
しかも、そのページの中でも扱いは低く、「その他」のジャンルにひっそりと掲載。
分類不能の雑多な小物と一緒に並べられていたことに、微かな憤りさえ感じるほどだった。
auオンラインショップには、「スマートフォン・携帯電話」というページがあるのに、そこには入れてもらえない。
アクセサリー扱いであるから、当然、auが打ち出している、スマートフォン用のさまざまな割引契約や保証も適用されない。
要は、《auのショップで購入できる》ということだけがポイントで、回線キャリアとしては、この端末に何ら関与しないということなのだろう。
実店舗に展示される可能性もあるが、アクセサリー扱いとなっているため、どの店にも配備されるかどうかは疑問だし、店員のサポートも期待できないだろう。
まぁ、それがSIMフリー端末の自由さと言えるのかもしれず、そういった端末を、auが扱ってくれることが画期的なのだとは思うけれど、僕は、ちょっと拍子抜けしてしまった。
もちろん、僕は、auから発売されることが「悪い」と言っているのではない。
BlackBerryが、かつてはdocomo専用だった時代を考えれば、「今は、auのSIMでも使える!」という大きなPRになる。
アクセサリ扱いとはいえ、その購入時には、auのポイントが使えるのも、auユーザーにとってはメリットだ。
さらに、今回は、オリジナル特典(?)として、KEY2専用のケースがつくという特典もある。
だから魅力的な販路だとは思う。
どういう形であれ、「au」が「自社SIMとセットではない端末を販売する」ということは、大英断だとも思う。
思うけれど、僕はやっぱり、その微妙な立ち位置をむず痒く感じてしまった。
頭、堅いのかなぁ…。
*1:ブラックベリーインターネットサービス。これが使えないと、「メールの送受信」「Webの閲覧」を含む、データ通信を伴うアプリがすべて利用不能。通話とSMSしかできない端末に成り下がる。