この映画は、転生を繰り返す犬の物語だ。
と、ひとことで言ってしまえば簡単なストーリーなのだけれど、全編を通して《犬の視点》から描かれているというのが、大きなポイント。
そしてこれは、2年前に上映された「僕のワンダフル・ライフ」の続編になる。
前作は、本当に素晴らしい作品で、上映後、あちこちでむせび泣きする人が多数。
僕も、涙でしばらく席を立つことができなかった。
すべての犬好きにオススメだし、特に、「飼い犬を亡くした経験のある人」にとっては、涙なくしては見られない映画だと思う。
犬の寿命は、長くても15年程度だから、当然、人間の寿命よりも短い。
だから普通、ひとりの人間が、同じ犬とつきあえるのは、人生の一時期だけ。
犬の一生を見送る立場になるのは、人間だ。
しかし、この物語に出てくる《僕=犬》は違う。たとえ死んでしまっても、転生(犬生)を繰り返すからである。
生まれる場所も、犬種も、時には性別も変わったりするが、しかし、記憶だけは繋がっている。
前作の「僕のワンダフル・ライフ」では、生まれ変わるたびに、さまざまな人たちと関わる《僕=犬》を描きながら、最後の最後で、「あっ」と驚く展開が待っていて、大いに泣かせた。
そして、その物語は、「僕のワンダフル・ジャーニー」のオープニングに繋がっている。
だから、前作を見ている方が断然楽しめるが、 今回の映画だけでも独立した話になっているので、たとえ見ていなくても大丈夫。
犬生のたびに、さまざまな人間たちのドラマがあった前作と異なり、今回の作品は、《君を守る》という大きなテーマがあり、その1点において繋がっている。
だから、はっきり言ってそのストーリーは、かなりご都合主義だ。
「いくらなんでもそれは偶然すぎるだろ!」とか、「あり得ない!」と思うような展開も多数。
ただ、細かいことは言うまい。
そもそも、犬が転生し続ける、という時点であり得ない話なのだ。いちいち突っ込むのは野暮というものだろう。
ということで…。
犬と人間のドラマを、無心で楽しめる人にとっては、素晴らしい作品だと思う。
今回も、僕はやっぱり泣いてしまった。
パンフレットも、勿論購入。
パンフの表紙と裏表紙。
《飼い主を見つめる犬》と《人間の両足》を、同じ構図で撮ったものだが、それには、ちゃんと意味がある。
パンフの中面にも、同じ構図の写真が2枚あるが、その犬種と足は異なっていて、映画を見終わった人ならば、きっと、「なるほど」と思う筈。いやぁ、素晴らしい。
中面には、ストーリーを彩った犬たちの写真が満載で、それを眺めていると、映画の感動が甦ってくる。
いやぁ、いい映画だったなぁ。