餃子ランナーは電子機器の夢を見るか?

ランと餃子とデジタルガジェット。ときどき、映画や雑誌の話。言いたいことを言い捨てるブログ。

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武豊の見解

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ディープインパクトが、過剰に評価されすぎているのではないかということは
これまでに何度も書いた。
特に、Gallopをはじめとするフジサンケイグループの盛り上がりは異常だ。


僕はディープインパクトを応援しているし、もちろん強いとも思っている。
弥生賞は、そのレースを見るためだけに、2年ぶりぐらいに中山競馬場まで
出かけたぐらい、思い入れもある。


レース前、G2レースとは思えないぐらい混み合った場内は、異様な雰囲気に
包まれていた。
誰もが、関東初見参となったスーパーホースをこの目で見ようと固唾を
呑んでいた。そんな雰囲気だ。


レースがスタートして、3角過ぎ。
後方にいたディープインパクトが、一瞬にして4角を上がっていった時、
場内はどよめきを増した。
「来た来た〜」という声も、各所から聞こえた。
直線に向かい、これで3度目のインパクトを見せてくれるかと、誰もが
そのシーンを期待していただろう。
しかし、内からするするとアドマイヤジャパンが忍び寄ってきた瞬間には、
一部で「あーっ」という声が出ていたほど、場内はざわめいた。
それほどまでに危うい状態に見えたのだ。
ゴール板を超え、きっちりと交わしきったことがわかった瞬間、安堵の
雰囲気が流れていたことは間違いない。


しかし、このシーンは、後に見たテレビ中継では印象が変わる。
4角を上がっていく瞬間の凄さは体感した通りだったが、直線に向かっての
脚も、ゴール板前でムチ一つなく差しきった脚にしても、実際に見ていた
時ほど、危うさは感じなかった。
(勝つことを知っていたからだけなのかもしれないが)


ただ、「強い」とは感じても「抜けて強い」とは思えないという印象は
変わらなかった。
だから、レース後、司会者や井崎脩五郎がこぞって、《これも衝撃》と
持ち上げまくるのには、違和感を感じてしまったほどだ。
武豊が「(この馬には)まだまだ強くなってもらわなければ困ります」と
課題と希望を持って発したコメントに対して、
「(こんなに強いのに)まだまだ強くなる!」というような論調で
持ち上げるのは、曲解なのではあるまいか。


この過剰報道は、スーパー競馬に限らない。
翌日のサンケイスポーツでは、1面で堂々と、
「ディープインパクト、無敗3冠を確信!」と謳ってきたのには驚いた。


http://www.sanspo.com/keiba/top/ke200503/ke2005030701.html


この記事でも、終始冷静にレースを振り返る武豊のコメントを、様々な
方法で脚色し、持ち上げているのが伺える。
記事を何度も読み返してみたが、「無敗3冠を確信」したのが、誰か
一向にわからない。サンスポ記者が確信したということなのだろうか。


ただ、このサンスポでの報道については、先週の日記(ディープインパクト
追い切り http://d.hatena.ne.jp/ICHIZO/20050303#p1)で取り上げた通り、
あの里谷多英を差し置いてまで持ち上げてきている以上、もはや引っ込みが
つかなくなったというのが正直なところだと思うのだが。


しかし、ここまで圧倒的に持ち上げられると、もしかして、自分の見る目が
間違っていたのではないかと思いはじめていたことも事実だ。
「前2戦のような圧勝をするだけが競馬ではない。今回もレース内容は
完勝だったのだし、総合的に見ればやっぱり断然の存在なのではないか」と。


だから僕は、この馬に関する武豊のコメントには、常に注目をしていた。
武豊は、この馬の最大の当事者であり、最もその強さを知る存在で
ありながら、終始控えめなコメントを貫いているからだ。
しかし、新聞や記事で読むと、コメントひとつひとつが脚色、拡大解釈されて
しまうから、武豊の本意が包み隠されていたような気がする。


そういった意味で、最も武豊の本音に近い心境が出ている日記には
注目をしていたのだが、それでも今回の内容には、少し驚いた。

ディープインパクトについて 2005年3月7日

 
 ディープインパクトが、期待通りの走りで弥生賞を快勝してくれました。長距離輸送を苦にする馬がまれにいるので、その点がどうかなと思っていましたが、いつも通りの姿で出てきてくれたのがまずよかったですね。次に繋がる競馬を、できれば勝利を、と思って臨んだレースでしたが、それも完璧な形でクリア。皆さんが思っているように、相当な逸材であるのは間違いありません。でも、まだまだ良くなる余地を残している馬ですし、このあとも順調に成長していってほしいというのが正直な気持ちです。


 今年は、誰が見てもディープインパクトが抜けている、ということなのでしょうか。ボクとコンビを組んでいたほかの有力馬たちが、ボクの意思とは別のところで早い時期に離れて行ってしまう現象にあって、少し戸惑いを感じてもいます。クラシックを勝つには、ここからの1、2か月でどれだけ良くなることができるかというのが、かなり重要な要素になりますから、ジョッキーの立場でいえば候補は最後までたくさんいる方が有利なわけです。でも、今年はそんなことも言っていられないようです。それだけに、ディープインパクトにはもっともっと強くなってほしいと願っています。


弥生賞の勝利を称えている前半は、レース後などに語ってきたことと同様、
いわばお約束事的な賞賛と言える。
今回武豊が言いたかったのは、後半、まさに日記でしか書けない部分だろう。
言葉を選んで書いているが、その文意は《皆さんが書き立てるほど、まだ
ディープインパクトが抜けているわけではない》と、僕には読めた。


具体的には書いていないが、自身が乗って勝ってきたヴァーミリアンや
ペールギュントの乗り役について、別のジョッキーにシフトされていくのに
つれ、それを納得していない気持ちが随所に溢れている。
おそらく、「俺はまだディープインパクトに決めていないぞ。トライアル戦で
それぞれ乗って、成長度や強さを確かめてから本番での乗り馬を決める
ぐらいの気持ちでいたのに、どうして先に乗り代わられてしまうんだ」と
いう思いなのではあるまいか。


他馬の陣営からしたら、「どうせ豊は本番に乗ってくれないのだから、
トライアル戦から継続して乗ってくれるジョッキーを確保しておいた
方がいい」という気持ちで、乗り変わりを決めた筈だ。
しかし、武豊の本音としては、「僕は、本番までディープインパクトを
選ぶなどとは一言も言っていないのに、勝手に離れていかないでくれ」
ということなのではないかと思う。
だから、この結果を後悔しないよう「ディープインパクトにはもっともっと
強くなってほしいと願っています。」と結んでいるのだ。


武豊はとても正直なジョッキーだから、ここまで踏み込んでコメントした
今回の日記が持つ意味は、とても大きいと思う。


もしもディープインパクトがシンボリルドルフやアグネスタキオン級の馬で
あったとしたら。
武豊はこのような日記を発表していただろうか。


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