足柄峠走の地獄と極楽〜極楽篇

(承前) 走り始めは、少し怖かった。 何しろ、峠の頂上付近は、14%もの急勾配なのだ。気持ちが萎えるほどの上り坂は、裏を返せば恐怖感が沸く下り坂でもある。 しかし、ここは躊躇したら負けだ。峠走の提唱者である岩本能史先生の著書でも、「平地で走る時よりこぶしの位置を低くして、重心を下げながら思い切り駆け下り…