武豊は、日本中央競馬界において、空前絶後の大スターだ。
JRAの通算勝利数は4,600勝超。
歴代2位のノリ(横山典弘)が3,000勝超で、これでも十分凄まじいのに、そこからさらに1,600勝も上を行くのだから、ずば抜けている。
重賞勝利も370勝。
JRAの長い歴史において、一般レースを含む通算でさえ、370勝に到達した騎手はそれほど多くない。*1
いかに武豊のレベルが違うかということがわかるだろう。
JRAのGⅠ勝利は85勝。
乗ってきた名馬たちは、ディープインパクトを筆頭に、スペシャルウィーク、キタサンブラック、ウオッカ、メジロマックイーン、サイレンススズカなど、枚挙に暇がない。(古い記憶を辿っているので、時系列がバラバラなのはご容赦)
そんな武豊が、先週さらに凄まじい記録を打ち立てた。
急きょ代打騎乗が決まったシックスペンスに乗って、史上最年長でGⅠを制したのだ。
57歳2カ月24日でのGⅠ勝利は、2年前にノリが作った記録を1歳上回るもの。
JRA・GⅠ最年長勝利記録は、ノリに抜かれるまで武豊自身が保持していたものだから、今回その記録を《奪還》した形だ。
勝ったシックスペンスは、キズナの産駒で、ディープインパクトの孫。
キズナもディープインパクトも、武豊とともにGⅠを制した馬だから、親子3代の馬に乗ってGⅠを制したことになる。
やっぱり、競馬は血のドラマなんだなぁと思わずにはいられない。
そんなドラマが味わえるのは、それだけ武豊が「第一線」で活躍し続けているということの証。
先週、安田記念の後、本棚の奥に眠っていたこの本を見たら、なおさらその思いが強くなった。
1990年に刊行された、武豊のファンブック的なムックだ。
僕は、15年前に競馬から足を洗った際、競馬雑誌類はほとんど捨ててしまった*2が、なぜかこの本は捨てきれずに残していた。
表紙の武豊が初々しい!若い!
それもその筈、これは1990年に刊行されたもので、当時の武豊はまだデビュー4年目。
弱冠20歳の青年だったのである。
しかし、その時点ですでにGⅠを5勝していたのだから、驚くばかり。
1990年にして、トップジョッキーの座にいたのだ。
先週、史上最年長GⅠ勝利ジョッキーとなった武豊は、史上最年少GⅠジョッキーの記録保持者でもある。
武豊が初めてGⅠを制した時のグラビアは、このファンブックにもしっかり掲載されている。
1988年の菊花賞。スーパークリーク。
19歳7カ月にして、史上最年少で、初のGⅠ制覇だ。
この最年少記録は、38年たった今でも破られていない。
記事のキャッチコピーは、「今、神話が生まれる。」
この時生まれた神話が、未だに続いているというのが、武豊の凄さだろう。
ファンブックの内容は、ほぼグラビアとコミックで占められており、インタビューさえ載っていないのは、ちょっと寂しい。
ただ、デビュー4年目までの武豊の軌跡をたどることができる貴重な本だ。
巻末に掲載されていたこの写真にも痺れた。

好きな言葉は「前進」
いかにも武豊らしい言葉ではないか。
こういった精神があるからこそ、40年近くもの間、トップジョッキーとして君臨し続けてきたのだろう。
武豊は、今もなお、前進し続けているのだ。




