積雪に注意!とか言っていたのは、いったい誰なんだ。
そんな予報をあざ笑うかのように、夜明け前の道路はカラカラに乾いていた。
普通の人ならば、「朝の通勤に影響が及ばない」ということで喜ぶべきなのだろうけれど、僕はちょっと拍子抜けだった。
あぁ、少しでも積もっていれば、また、あのシューズを使えたのになぁ…と、思ったからだ。
そう。スノーターサーである。
5年前、都内に大雪が降った日。僕は、この靴を履いて、荒川河川敷を爆走したことを思い出す。
あぁ、あの時は本当に楽しかったなぁ…。
この靴は、雪道用ではあるが、れっきとした《ターサーシリーズ》の一員なので、スピードを出して走れる。
だから僕は、雪が積もるたびに、この靴を履いて走れることが、本当に楽しみだった。
しかし、悲しいかな(?)都内で雪が積もることは滅多にないため、ほぼ、1年に1回ぐらいしか履くチャンスがない靴と化していた。
そして、この靴を使うなら、走らないと意味がない。
昨年の大雪の日、僕はこれで通勤し…大失敗した。
だから今年は、そのリベンジを図ろうと思っていたので…無念だった。
そんな憂さを晴らすためには、やっぱり、走るしかない。
ということで、僕は、いつものジョギングシューズで走り出した。
夜明けの空は、雲一つない好天。
僕は、ウェンブリーの空に穴をあけたフレディ・マーキュリーの歌声を聞きながら、天空の情景を堪能した。
今日は、華麗な天体ショーが見られる日なのだ。
東の空から、美しく欠けた「有明月」と、明けの明星「金星」が、寄り添いながらのぼってくる。
さらに…。
少し離れて、木星までコラボレーション。
実に素晴らしい夜明けの情景で、僕は見惚れながら走り続けた。
もしも今朝まで雪が降っていたならば、見ることができなかった情景なので、本当に嬉しかった。
やっぱり、夜明けのランは最高だ。
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