横浜みなとみらいランからの帰り道。
関内駅近くにあるランステーションを出たあと、僕は少し悩んだ。
折角横浜にいるのだから、本当は、中華街とか、野毛とかにひしめく餃子店に行きたかったのだけれど、僕にはそんな猶予がなかった。
その日の夕方からは、筒井康隆先生のトークイベントに行くつもりだったし、その前にもちょっとした所用があったので、すぐに帰宅が必要だったからだ。
しかし、お腹はとても空いている。ということで、ランステ近くの閑散とした道をぶらぶらと歩いた。
この辺りはオフィス街で、日曜は閉まっている店も多い。
ちょっとよさげな店などは軒並み休業日で、これは、大戸屋あたりでお茶を濁すしかないかなぁ…と思っていたところ、僕の目に、この店が飛び込んできて…。
ビビッときた。
雲呑専門店。
餃子専門店じゃないのは残念だけれど、雲呑は、「小麦粉ベースの皮にくるまれた料理一族」として、餃子の仲間だw
店名に、香港の冠がついていて、本格的なムードを醸し出しているのもいい。
店頭には、ちょっと怪しげにも見える料理人の写真が大きく掲示されていた。
香港風を看板にしているのに、「京都九条ネギを使用」ってどうなんだよと思いながら、つらつらと眺めていると、外に出てきた店員から声をかけられた。
僕は、あまり時間もなかったので、これもひとつの縁(?)だと考えて入店することにした。
メインの料理は4種類。全て雲呑麺だ。
席にメニューは用意されているのだけれど、実際は、店頭の券売機で食券を購入する仕組み。
僕は、どれにしようか少し悩んで、「迷った時は1番人気の法則」に従い、海老焼売雲呑麺のボタンをチョイス。
ただ、食券では、塩味か醤油味かの区別はなく、加えて、香港麺(細麺)と日本麺(太麺)の2種類があるようで、結局、店員にその選択を告げる必要があった。
僕は、それだったら食券いらないんじゃないか…?と思いつつ、「塩味、香港麺」と頼んだ。
以前、香港で食べた美味しい中華麺を思い出しながら、待つこと数分。あっという間にそれは出てきた。
海老焼売雲呑麺の登場だ!
メニューには「香港名物」と書かれていたが、僕は海老焼売雲呑麺なるものを香港で見かけた記憶がなかった。
そもそも、焼売雲呑麺というところが意味不明。焼売と雲呑、いったいどっちなんだ?と、言いたくなる。
まぁ、どちらも「小麦粉ベースの皮にくるまれた一族」ではあるけれど、ビジュアル的に乖離しているからだ。
例えば雲呑と水餃子(スープ餃子)*1であれば、結構似ていると思うのだけれど…。
香港が看板なのに、京都九条ネギを使用を売りにしていたり、なんだか色々不思議な店だなぁと思いつつ、僕はその「焼売雲呑」なるものを囓ってみて…そして、ちょっと驚いた。
美味しいじゃないか!
海老は、小エビが1匹入ってプリプリ。そして、それと同時に、たっぷり入った肉の旨味が感じられる。
…と、ここでようやく僕は気がついた。
僕は、このメニューを「海老焼売雲呑麺」だと思って注文したので、なんだか違和感を感じてしまったのだけれど、それは大きな誤解だった。
これは、「海老焼売雲呑麺」なのだ。
よく考えればこれは、海老焼売の具材を使った雲呑麺のことで、そういうことであれば、まぁ、納得できる。
そんなこと初めからわかるだろ!というツッコミが入るかもしれないけれど、そのあたりは、言語感性の違いということになるので、クレームは丁重にお断りさせていただく。
僕は、日本語(中国語か?)の奥深さに感服しつつ、食べ続けた。
香港麺と呼ばれた細麺も、なかなか美味。
塩味のあっさりしたスープともども、かつて香港で食べた味に近い、と思った。
雲呑麺の丼はそれほど大きくなく、最初に提供された時は、「これじゃ足りないかも…?」と思った。
しかし、具がぎっしり詰まった雲呑が5個も入っていて、意外に食べ応えがあった。
さらに…。
ランチタイムサービスとして提供された、この「蒸し鶏ネギ油ソースがけご飯(小)」が、僕の心もお腹も満たしてくれた。
ネギ油ソースが、ご飯にとても合っていて、これだけで丼いっぱい食べたいぐらいの美味しさ。
締めのデザートとして出てきた、杏仁風味の餅。優しい甘さで、これも、とっても美味しかった。
僕は、入店時の戸惑いがすっかり消え、この店のファンになっていることを感じた。
この日は、1番人気のメニューに落ち着いたが、是非他の雲呑麺も食べてみたくなった。
メニューには、「皿雲呑3種」というのもあり、今度はこれも食べてみたくなった。
さらに…。
焼餃子だってある。しかも230円。安い。
この店にとっては副食的な存在のようだから、あまり期待できないと思うけれど、まぁ、ネタとしては(?)食べておかなければ…と思う。
ということで、再訪決定。
次回のみなとみらいランの帰りに、また寄ってみることにしよう。
*1:僕は、水餃子は皿に盛られていてこそ美味しい、と思うけれど、スープに浮かんでいるタイプのものを提供する店も、かなりある。