一瞬、僕は目眩がした。
店内に客の姿はあったものの、暖簾がしっかりかかっておらず、さながら営業時間終了のような雰囲気を醸し出していたからだ。
舎人公園ラン後、約1kmの道程を、胸ときめかせながら走ってきたとというのに、「すわ、臨時休業時間なのか?」と思い、焦った。
しかし、写真を撮りながら眺めていると、店内には、新規の客も普通に入っていく。
どうやら、「暖簾のかけ方が適当」なだけで、通常営業しているようだ。
暖簾に近づいてみる。
店の名は、「中華タカノ」。その佇まいは、地元民に愛される【ザ・昭和】タイプの中華店という雰囲気。
暖簾が適当にかかっていようが、店も客も気にしない、大らかさを有している。
そもそも、この店は「暖簾を上げ下ろす」という行為がない。
そう。24時間不眠不休で営業しているからだ。
深夜まで営業している中華店は多々あるが、早朝から普通に中華を食べられる店は、滅多にないため、貴重。
僕のような、夜明けランナーにとっては、非常にありがたい。
入店。
店内は、結構奥行きがあり、意外と(?)ゆったりしていた。
僕が入ったのは、まだ午前6時過ぎだったというのに、結構賑わっている。
Webでのレビューなどを見ると、夜は満員になることも多いようで、人気店なのだろうと思った。
着席し、メニューを眺める。
餃子は250円と格安で、僕は、その安さに感激したが、この値段だけならば「餃子の王将」とほぼ同価格*1だし、「日高屋」などはもっと安いので、それほど驚くほどじゃない。
ただ、そういった大手チェーン*2の画一料理ではなく「町中華」料理として24時間食べられる、ということを考えると、非常に良心的な価格だなぁと思う。
驚くのは、ラーメン350円の方。こちらは、「日高屋」よりも安い。
ワンタンも350円だから、ここまで眺めると、格安の中華料理店のようにも思えるが…。
メニュー全体を見渡してみると、それほど安くはなかった。
1,000円超の一品料理なども多々あり、ビールも550円だから、結構な値付け。
この辺りは、中華チェーン店などよりも、かなり高い設定になっている。
ただ、それでも賑わっているようだし、店内の常連(?)客たちも、普通に定食などを注文していたので、たぶん、値段に見合った味の店なのだろう。
僕は、もちろん焼餃子を注文。「安いから」じゃなく、もちろん、「餃子ランナーだから」だ。
店員さんに、「それだけでよろしいですか?」と聞かれたので、少し迷ったが、「とりあえず、それでいいです。」と回答。
折角この店に来たのだから、看板メニューであるラーメンを頼むべきだったのかもしれないが、見送った。
僕は、餃子を《主食》と捉えており、餃子とラーメンを一緒に食べることは滅多になく、餃子とライスでさえ少し抵抗があるからだ。
餃子のお供として考えるなら、ビールだったが、この日は、朝から映画を見に行く予定も詰まっていたため、自粛した。
注文後、待つこと10分程度で…。
焼餃子が来た!
こんがりと焼けた、僕好みの焼き色だったが…。
とにかく小さいw
1人前5個を並べても、iPhone SEの縦サイズと変わらないほど。
これだと、250円という価格も、安いのではなく「妥当」なのではないかと思えてきた。
僕は、ちょっとだけガックリした気分で、一口囓ってみると…。
結構美味しいじゃないか!
皮は、カリカリ感ともちもち感がしっかり感じられるし、具のザクザク感もある。
小ぶりながらも丁寧に作られた、王道の野菜餃子だ。ニンニクもガッツリ効いている。
下味もちゃんとついていて、噛むとその旨味が口内に溢れる。何もつけなくても十分に美味しい。
これならば、2人前にしても良かったかなぁ…と思い、僕は、少しだけ後悔した。
その後の予定を考えると、追加注文しているほど余裕はなかったので、僕は、これを食べると店を出ることにした。
餃子たった1人前、250円だけの注文ではあったが、店の人の対応は暖かく、邪険にされることもなかった。
この和やかな雰囲気が、人気の秘密でもあるのだろう。
僕は、秋にまた舎人公園ランを実施する予定なので、その時はまたここに再訪し、今度は、心ゆくまで餃子を堪能しようと心に決めた。
ワンタンもちょっと気になったので、次回は、あわせて注文しようと思う。