何の前触れもなかった。
昨日、いつものようにブログを書いて、いつものように夜明けランをして、いつものように通勤をしていたとき、みぞおちの奥が猛烈に痛んできたのだ。
ランニングの直後から、ちょっとした違和感を感じてはいたものの、「一時的なもの」だと思い、僕は、普通に家を出た。
しかし、満員電車に揺られているうちに、痛みが強くなり…ついには、耐えられないほどになってきたため、途中駅で下りていったん休息。
それでも痛みが収まらなかったので、僕は、出社を諦め、休暇をもらうことにした。
その後、何とか近所の病院に行き、診断をしてもらうと、なんと、胃潰瘍の疑いがあると言う。
先生は、一通り診察を終えた後、僕に「今朝、食事は取りましたか?」と尋ねた。
僕は、夜明けラン後、身体に違和感があったため、「何も食べていません」と言うと、先生は、僕に胃カメラでの検査を薦めた。
「当院では、痛み止めを出すまでしかできないが、もしも気になるなら、胃カメラ撮影ができるよう、総合病院への紹介状を書いてもいい」と、仰ったのだ。
僕は、基本的に「気になる」たちなので、もちろん紹介状を書いてもらうことにした。
ということで、僕は、痛む身体を引き摺りながら、何とか総合病院に辿り着いた。
そこで驚いたのは、午前中から、人・人・人の海だったこと。
平日の午前中だというのに、病院というのはこんなに混んでいるものなのか…と、僕は唖然としてしまった。
痛みをこらえつつ、待合室で過ごすこと2時間。僕の名前がやっと呼ばれた。
そこから先は、検査、検査、検査だった。
胃カメラ(内視鏡)検査の前に、血液検査、腹部超音波、レントゲン、心電図などの検査も行われたのだ。
僕は、ここまで検査をするのか…と思いつつ、淡々とそれを受け続けた。
そして、検査のラスボス(?)とも言えるべき、胃カメラの前に、看護師の人から、詳細説明があった。
正直に言うと、その説明を聞くまで、僕はちょっと憂鬱だった。
僕は胃カメラを大の苦手としており、特に《口から内視鏡を入れるタイプ》では、地獄の苦しみを味わっていたからである。
その感想については、過去のエントリーでこう書いている。
管が喉を通る瞬間は、まさに地獄の苦しみだったし、その後も、喉の圧迫と、身体の中でうごめく感触が本当に気持ち悪くて、オエオエという声なき声を上げ、涙を流しながら、僕は耐える羽目になった。
背に腹は代えられないとはいえ、またしても、あんな思いを味あわなければいけないのか…と、目の前が真っ暗になっていた。
だから本当に、胃カメラ検査の説明を聞くのは憂鬱だったのだ。
数年前、人間ドックに行った時は、《鼻から内視鏡を入れるタイプ》の検査があり、口よりは断然マシだったため、せめて、鼻コース(?)がありますように…と願った。
すると、看護師の先生は、僕が全く想定していなかったことを言った。
なんと、《鎮静剤(静脈麻酔)を使った、無痛の胃カメラ検査》コースがあるというのだ。
どうやら、眠っている間に、いつの間にか胃カメラ検査が終わっているということになるようだ。
まさか、そんな夢のような検査があるとは。僕は大いに驚いた。
ただ、この検査にはデメリットもあり…。
「検査後2時間程度は、目が覚めても、そのままベッドで休息しなければいけない」
「検査当日は、車の運転のみならず、自転車運転も不可」
と言われた。
要は、それだけ麻酔の効果が凄いということだろう。
この病院における胃カメラは、このコースと、《口から内視鏡を入れるタイプ》コースの二択。
僕は、もちろん、ノータイムで鎮静剤コースに決定。
どうせ今日は会社にも行かないのだから、地獄の苦しみを味わうよりは、1日ぼーっとしている方が楽だ。
ということで…
僕は、ホッとした気分で内視鏡室に入った。
そこから先は、夢うつつの時間が過ぎていく。
鎮静剤(動脈麻酔)は、点滴によって身体に導入されるのだが、その前にも準備時間がかなりあったので、検査が始まるまでに30分以上かかった。
しかし、いざ、鎮静剤を入れられてからは、ほんの一瞬の感覚。
次に僕が気がついた時には、いつの間にか、2時間近くが経過していた。
鎮静剤の導入前、口にくわえらさせられていたものも外れており、どうやら、検査は終わっているようだ。
時間こそかかったものの、「今までの胃カメラ地獄はなんだったんだ!」と思ってしまった。
こんな検査なら、毎日受けたっていい。(いや、よくないかw)
その後…。僕は、担当の先生から、検査結果の説明を受けた。
先生曰く、「基本的には問題ありません」とのこと。
僕の胃は、若干のポリーブがあるものの、綺麗な状態で、明らかな胃潰瘍や胃がんの症状は見られないとのこと。
念のため、生検*1を行うが、大丈夫だろうという話だった。
僕は、それを聞いて、大いにホッとした。
ではなぜ、昨日、急に胃の部分が強く痛んだのか。
それは、「胃の状態が一時的に不安定になっていた」ということらしい。
何かの刺激によって、突発的に胃の位置が不安定になり、その結果、逆流性食道炎や食道裂孔ヘルニアという症状が発生。
それによる痛みではないかということだった。
これは時間が経てば自然に治まるものらしく、確かに、午後になって、胃カメラを受診する前ぐらいには、かなり痛みが治まっていた。
先生によると、今回の痛みは、ランニングが原因であるかもしれないという話だった。
食後すぐ、過度のランニングなどを行うと、逆流性食道炎や食道裂孔ヘルニアを引き起こす可能性があるというのだ。
昨日の夜明け前ランでは、バナナを1本食べただけだし、例によって、のんびりダラダラ走っていただけなのだけれど、それでも影響があったということなのかなぁ…。
とりあえず、今回は大事に至らずにホッとしたけれど、僕はもともと胃が強くないので、今後のランにあたっては、十分気をつけていかなければいけないと思った。
病院を出ると、もう、夕方。午後4時。
最初の病院には、朝9時前に着いていため、それから7時間も経過したことになる。
長い待ち時間と、麻酔による睡眠時間があったので、仕方のないところではあるが、昨日は、病院に行っただけで1日が終わってしまった。
なんだかちょっと空しい。
無痛の胃カメラ検査で苦しくはなかったし、検査結果で問題なかったのだから、それで良しとしなければいけないのだけれど。
*1:疑わしい病変の一部を切り取って、菌や腫瘍の存在を詳しく調べて病気の診断を行うもの