一昨日。2月10日の夜明け前。
起きてすぐ、僕は、久しぶりのランニング装備を調えた。
医者からの許可が出て、デジカメも復活。…となれば、もちろん、走るしかないではないか。
外は厳寒だし、左手にはギプスを巻いているため、見通しの悪い夜明け前は、ランに適した環境とは言えない。
しかし、僕は、何としても夜明け前に走りたかった。
月を見たかったからだ。
僕が転倒して、手負いになったのは、2月1日。満月の夜明け前。月に見惚れて写真を撮っている時に、足下が疎かになってしまった。
もちろん、月に罪はない。
むしろ、それ以降しばらく、夜明け前の月を見たり撮ったりできなくなってしまったことの方が寂しかった。
だから、まだ月齢が新月になる前に、ランを再開することができ、本当に嬉しい。
一昨日の天空は、くっきりと晴れていたため、月を見る環境としては、文句なしの筈だった。
ということで、僕は、いつものランニングロードに繰り出して、恐る恐る走り始めた。
ギプスを巻いている左腕は、少し重たかったけれど、でも、きついというほどではない。
右腕には、GarminとFitbit Charge 2をダブル巻きしているため、それなりに重たいので、なんとなくバランスがとれているような気もする。
座骨部分はやっぱり少し気になるけれど、鍼治療の効果で、以前のような痛みはない。
僕は、思っていたよりも、断然に軽い身体と心で走れる喜びに浸った。
そして、空には…。
月が煌々と輝き、すぐそばには、火星も見えた。
火星は暗くて赤い星なので、探すのが難しい場合も多い。
しかし、この日は、月とコラボレーションすることがわかっていたため、月を目印に、簡単に見つけることができた。
僕は、復活したデジカメを手に持ち、足下を確かめながらしっかり立ち止まり(ここ重要)ズームで月に寄ってみた。
美しい!
月齢23日目の下弦の月だ。満月は美しくて最高だけれど、僕は、「欠けていく」月の情景にも、とても魅力を感じている。
だから、下弦の月のタイミングで、復活ランを行うことができ、本当に嬉しかった。
怪我も負っているので、この日は、5km程度にとどめるつもりだったのだけれど、月に見惚れているうちに、気がつけば10kmも走ってしまった。
この日は、僕にとって、東京マラソンでの復活を賭けるための、大事なリハビリラン。
最高の舞台を用意してくれた月と火星に、感謝、だ。