2020年、大阪。
みんなでかける筈だった虹は、幻になってしまった。
大阪マラソンの開催中止が決まってしまったからだ。
大阪府は、6月に入って以降、殆ど新規感染者が発生していないため、「もしかしたら開催もあり得るか…?」と思っていたのだけれど、やはり、無理だった。
大阪マラソンの開催予定日は11月29日だったので、まだ5ヶ月以上あるとはいえ、その頃になると、《第二波》の可能性も考えられるから、慎重な対応が必要。
大阪マラソンは、数万人規模の人間が集まる競技だ。たとえ屋外開催とはいえ、「密」になることは避けられない。
ウイルスが完全に死滅しているならともかく、未だ現在進行形なのだから、開催中止は当然の決断と言える。
大阪だけじゃない。
神戸、奈良、福岡、金沢、盛岡…等々、今年の年末までに開催される予定だった都市型マラソンは、すべて中止が決定。
こうなってくると、来年2月の京都、そして、3月の東京マラソンさえも、開催が難しいんじゃないかという気がしてきた。
今後…参加人数の少ない、地方のローカル大会等は、いずれ復活してくるだろう。
都市型マラソンにしても、いつかは開催される筈だが、それでも僕は、もうひとつの心配をしている。
たとえ都市型マラソンが復活したとしても、それは、以前と違ったものになる。
…だろうということだ。
道中のエイドや応援、そしてレース前後の対応に至るまで、あらゆる《接触機会》が徹底的に制限される筈。
エイドの提供食やハイタッチ、集団での応援、さらには、レース後のボランティアの人たちとの握手まで、規制がかかってしまいそうな気がする。
例えば、エイドで提供されるものが、「個包装」必須となったら、大阪マラソン名物の《まいどエイド》も、大きく制限されてしまうに違いない。
また、道中の大声援やハイタッチが禁止になったら、かなり寂しくなってしまうだろう。
僕は、こういったことが、まさに都市型マラソンの魅力だと思っていただけに、そう考えると、ちょっと切なくなる。
そして、これは考えたくないのだけれど、レース中のソーシャルディスタンス確保やマスク着用などを打ち出す大会まで出てくる可能性がある。
まさかとは思うが、あり得ない話ではない。
テレビなどが、無検証にデタラメな情報を垂れ流したため、一般人の間に、「ランナーは10mの距離をとるべき」「必ずマスクをして走れ」などという認識が蔓延しているからだ。
そういった認識が払拭されない限り、僕たちランナーは、以前のように気持ちよく街を駆け抜けることはできないような気がする。
あぁ。