きっかけは、5月下旬の腹部超音波検査だった。
僕は毎年1回必ずこの検査を受けているのだけれど、これまでは肝嚢胞(かんのうほう)を指摘されるぐらいでとどまっていた。
肝嚢胞は、良性ならばほとんど問題はなく、経過観察で済む症状。
だから今年も同じような診断結果で終わるものと思っていた。
ところが。
検査後、先生は僕にこう告げた。
肝臓に肝嚢胞がありますが、これはいつも通りなので問題ありません。ただ、すい臓がちょっと太くなっているようです。
その言葉を聞いて、僕は少なからず動揺した。
すい臓…すい臓…。まさか。
そんな僕の動揺をよそに、先生はさらにこう告げた。
精密検査が必要です。MRIで診たほうが良いと思います。どうされますか。検査を受けられるのであればすぐ、提携先に紹介状を書きます。
そんなことを言われては、検査を受けるしかないではないか。
僕の症状は《膵管拡張》とのこと。
先生は、「念のための検査です」と言い添えてくれたが、不安は募る。
僕は、さまざまな想像で目の前が真っ暗になりつつも、とりあえず紹介状を書いてもらうことにした。
その翌日。
僕は腹部のMRIを受けるために、専門施設に向かった。

そこは、MRIやCTでの検査を行う専門施設だった。

待合室には、本格的なリーフレットが置いてあった。
僕は頼もしいと思う反面、「最悪の事態」を想定して、少し震えてしまう。
この日僕がここに来た理由は、《念のための検査》ではなく《腹部超音波で引っかかったための検査》だったからだ。
検査前の問診で、先生からは「MRI上腹部検査に加えて、MRCP検査も行います。」と告げられた。

MRI上腹部検査は、肝臓、胆のう、すい臓をメインに撮影を行うが、すい臓の病気はMRIだけでは発見できない場合もあるため、MRCP検査が有効とのこと。
そこまで徹底的に調べてもらえるのであれば、「発見漏れ」というのはなさそうだ。
ただ、いざ「発見」されてしまったらどうしようという不安は拭えなかった。
心の準備ができてない。
さらに不安を抱えながら、検査の時間がやってきた。

MRIとMRCPは同時に行うことができるため、検査自体は1回で済むようだ。
僕はこれまで、腰や背中のMRI検査を何度も受けてきているため、検査自体は慣れたもの……の筈だった。
検査中に響く激しい音も、僕はそれほど抵抗がなく、なんなら寝てしまったこともあるほどw
だから今回も余裕だと思っていたが、甘かった。
腹部のMRIは、単に寝ていればよいということではなく、「息を吸って、吐いて、止めて」の繰り返しを何度も何度も行わなければいけなかったからだ。
内臓の状況をリアルタイムに確認するためには必要な指示らしいのだが、いやはや、これがなかなかつらかった。
腹部超音波の時も同じようなことをさせられるが、僕は、あまり腹式呼吸が得意ではないからだ。
激しい音が響き渡る中で、「吸って、吐いて、止めて」のアナウンスが流れるため、これが結構聞き取りにくく、僕はタイミングを何度も外した。
そのため、やり直しもたびたび行われたのだろう。
検査時間は20分ぐらいと言われていたのに、僕は40分以上もその責め苦を味わうことになってしまった。
検査中は、あまりにも終わらないため、「悪い病気が見つかったから時間がかかっているのかも…」という想像で、再び不安がこみ上げてきてしまったほど。
それでも何とか検査終了。
受付の人から、「診断結果は、かかりつけ医の方に郵送します」と言われ、僕はまた悶々とする。
ここは検査だけを行う専門施設だから仕方がないとは思うけれど、「結果はわかっている筈なのだから、教えてほしいなぁ…。」という気分に沈んだ。
ただまぁ、それを言っても仕方ない。
検査結果を僕が知ることができるのは、5月31日の日曜日。
かかりつけ医で行う大腸内視鏡検査の当日に、このMRI/MRCPの検査結果も同時に聞くという流れになった。
なんでこんなに検査ばかりが続くのか。
自分でも嫌になるけれど、まぁ、そういう歳なんだから仕方ないんだろうなぁ。
(以下、続く)

