現在開催中の「第64回神田古本まつり」では、魅力的な古本たちが無数に販売されている。
僕は、このイベントの初日に参加。
恒例の青空掘り出し市では、通常期よりかなりお得な本たちが出品されていた。
イベント開始早々ということもあり、まだまだ古書収集家や転売屋たちにも荒らされておらず、くまなく丹念に探せば、お宝本が発見できただろう。
ただ僕は、この日それほど時間がなかったため、物見遊山で会場を一巡りしただけ。
あっという間にタイムアウトとなってしまったので、懐かしきSF文庫本をゲットするにとどまった。
これらのマニアックな本たちを、合計1,000円あまりで入手できたのだから、超お得と言って良い。
SFマガジンセレクションは、このうち数冊が実家にある筈なのだけれど、あまりに気に入って読み耽った時期があり、ボロボロになっている。
今回、かなりの美本を1冊100円(!)で入手でき、嬉しくてたまらない。
アイザック・アシモフは大好きな作家で、文庫本は殆ど持っているのだけれど、なぜかこの短編集「夜来たる」だけは買い損なっていた。
表題作の「夜来たる」は、過去のSFマガジンやアンソロジーで既読だが、この文庫も欲しかったので、今回ゲットできて最高。
しかもこれは稀少本なので、メルカリなどでは数千円で販売されていたりするのに、なぜか100円。
こういう本が発見できるから、古本巡りは楽しいのだ。
ジュディス・メリル編の「年刊SF傑作選」は1960年代のSFを集めたもので、僕が生まれる前に書かれた作品ばかり。
過去古本でゲットして、実家のどこかにはある筈だが、100円なら迷わずゲット。
ミルクボーイならば、きっと「こんなの、なんぼあってもいいですから」と言うだろうw
今回ゲットした本たちが素晴らしいのは、本の中に、短冊が挟まったままになっていること。
この短冊は、《売上スリップ》と呼ばれ、書店で購入する時*1は、本から抜かれるものだ。
これが残っているということは、いったん売れた本が、古本に回ったわけじゃなく、何十年も前から、ずっと書店の片隅(あるいは倉庫)で眠り続けていた、ということになる。
そう考えると、なんだかとても感慨深い。
本を開いてみて、僕はちょっと驚いた。
190円!
現在は、文庫本でも軽く1,000円を超えたりするので、この価格は衝撃。
当時は、消費税などという忌まわしき存在もなかったため、価格表示もシンプルだ。
広告も、当時のものが挟まったままになっていた。
アイザック・アシモフの初期代表作で、出世作でもある「銀河帝国の興亡」(ファウンデーション)が、本邦初訳として大々的に告知されていた。
いやはやホントに懐かしい。懐かしすぎる。
アシモフ自身も、まさかこの30年後に、自分が続編を書くとは思っていなかったのではなかろうか。
ハヤカワ文庫の「夜来たる」にも、こんな広告が挟み込まれたままになっていた。
ハヤカワ文庫ヤングロマンス(YR)…?
そんな文庫シリーズあったかなぁ。僕は全く記憶がなかったのだけれど、調べてみて納得。
1986年~1988年の、たった3年間だけ刊行されたものであることがわかったからだ。
僕がこよなく愛する、SFというジャンルは、もっぱら《未来》を描くもの*2だけれど、そんなSF本から《過去》が甦ってくるのは、ちょっと面白い。
誰もが自分だけのスマホを持ち歩く時代は、50年代当時のSFが予見していた未来を超えており、なんだかとっても奇妙な気分だ。