JR総武線小岩駅。
その南口を出ると、ロータリーの先に、フラワーロード商店街がある。
昔ながらの雰囲気を醸し出す、ノスタルジックな商店街だ。
この商店街は、駅から800m程度にわたって延々と続いているが、その商店街の中にある店を目指して、僕は歩いた。
その店が営業中であることは、SNSの情報で確認済ではあったが、心の中では一抹の不安も感じていた。
食べログで、この店を検索すると、《店舗の運営状況の確認が出来ておらず、掲載保留》という扱いになってしまっていたからだ。
商店街を歩いても歩いても、店の姿が見えないため、心配になっていたところ、いきなり、ド派手な情景が目に飛び込んで来た。
あった!
その店の名は、「ニュー大龍」。いやはや何ともド派手な店頭だ。
入口には、創業44周年を祝う花がズラリと並び、手書きのメニューや写真が彩りを添える。
読売ジャイアンツのマスコットである、ジャビット君がお出迎え。
マスターは野球好き、巨人好きなのだろうなぁ…ということがわかる。
巨人ファン以外だと、気後れしてしまうかもしれないが、幸い(?)僕は、一応巨人ファンなので、ちょっと嬉しくなった。(巨人ファンでなくても、全く問題ない店だったけど^^;)
ということで、入店。
店内では、もちろん野球中継(巨人戦)が行われていて、常連客と思われる人がテレビに見入っていた。
それよりも僕が驚いたのは、店内の派手っぷり。派手なのは、店頭だけじゃなかったのだ。
壁一面が、写真やらメニューやら格言やらで埋め尽くされていて、圧巻。
2017年には、モヤモヤさまぁ〜ずの取材も入ったようで、その時の写真も飾られていた。
写真たちは、テーブル席沿いにあり、僕はカウンター席に座ったため、ひとつひとつを細かく確認することはできなかったが、遠目で眺めているだけでも楽しい気分になった。
厨房内も、写真とメニューが花盛り。
格言・名言も多数飾られていて、マスターのこだわりを感じる。
僕は、そんな店内の情景に圧倒されてしまったのだが、まずは注文をしようと思った。
「とりあえずビール」はお約束として、そのアテはどうしようかと思っていると…。
カウンター席の前に、《とりあえずメニュー》として、こんな掲示が貼ってあった。
「メンマ/らっきょう/きゅうり/ねぎ千切り/もやし和え/トマト/チャーシュー/冷ややっこ」の中から、3品を選んで300円!というもの。
いやぁ、ビールのアテには最高だ。
僕は、どれにしようか大いに迷った結果、「もやし和え」「トマト」「冷ややっこ」をチョイス。
まずはビールが出てきた。
ビールは、キリン、アサヒ、サッポロの三種から選べるし、大瓶の633。大人の義務教育だ。嬉しい。
僕は、この日結構疲れていたし、さらに、駅からこの店まで長く歩いた、まずはこれを喉に流し込む。いやぁ、旨いこと旨いこと。
そして。
トマトと冷や奴が出てきた。
この2品で300円でも十分納得なのだけれど…。
続いて出てきた「もやし和え」に仰天。なんと、チャーシューまで入っているではないか。
この3品で税込300円というのは、安い、安すぎる。しかも、そこそこ美味しいのだ。
僕は、この時点で、「あぁ、ここはいい店だぞ」ということを確信した。
この3品でビールを堪能しながら、やおら、メニューを眺める。
店の入口には「ラーメン」の暖簾がかかっていたので、この店のメイン料理はラーメンなのだろう。
ただ、この店は単なるラーメン屋ではない。
各種セットに加えて、定食類なども充実。丼物やチャーハン、カレーライス、オムライス、ナポリタンまで、何でもありだ。
手書きの文字とコメントに、味があって楽しい。
さらに。
夜は、《居酒屋モード》になるようで、おつまみメニューも多種多彩だった。
中華メニューに加えて、天ぷらやフライ、まぐろさしまである。しかも、全体的な価格が安い!
どれもこれも魅力的で、僕は大いに迷ったが、「ニラは力の出る野菜です」というコメントに惹かれて、ニラ玉炒めを注文。
それは、あっという間に登場した。
いやはや何とも魅惑的なビジュアルだ。玉子のとろけ具合がたまらない。
僕は、「ニラと玉子だけ」のニラ玉が大好きで、もやしが大量に入っていると、《かさまし》なんじゃないかと疑ってしまうタチだ。
しかし、この店のニラ玉は、もやしのバランスも悪くなかった。
玉子がとにかくたっぷりで、それとニラがうまく絡み合っていて、もやしがちょうどいいアクセントにもなっている。
これで400円なのだから、実にリーズナブルな料理だと思った。
もちろん、ビールにも最高に合う。
僕は、こうなると、店のオススメ料理を何でもかんでも注文してみたくなった。
それぐらい、この店の雰囲気やメニューは魅力的。まさに、町中華のワンダーランドだ!
僕は、そんな感動に浸ってしまった。
ただ…この日僕は、一人で訪れたため、僕の胃には限界がある。残念ながら、それほど多くのメニューは注文できない。もともと僕は大食いでないため、尚更。
となると、やはりこの後は、お約束の展開にならざるを得なかった。