「ミステリマガジン」が、今月発売の7月号で創刊70周年を迎えた。
近年、休刊や廃刊となる雑誌が相次いでおり、雑誌というジャンルは極めて厳しい状況になっている。
そんな中で創刊70周年を迎えたというのは、実に喜ばしい出来事だ。
僕は、2007年からの読者なので、そのうちわずか20年弱しか付き合えていないのだけれど、感慨深さがこみあげる。
ただ、そんな「ミステリマガジン」にしても、決して順風満帆な状況というわけではない。
その刊行形態が、大きく変わってきているからである。
僕が「ミステリマガジン」に出会った2007年当時、この雑誌は月刊だった。
盟友である「SFマガジン」とともに、毎月25日に発売されていたのだ。
僕は、その時点で20年以上読み続けていた「SFマガジン」を買うついでに、ふと「ミステリマガジン」も買ってみた、というのがきっかけだった。
それから僕は、毎月両誌を購入することになり、こんな感じで揃い踏み記事を書いていた。
しかし…。
2014年、そんな揃い踏み時代は突然終焉を迎えてしまう。
「SFマガジン」と「ミステリマガジン」は、ともに隔月刊化に移行してしまったからだ。
僕は大いにショックを受けたが、毎月どちらかの雑誌が出る*1ので、交互に楽しめていいじゃないかと自分を無理やり納得させたことを思い出す。
その後10年は、隔月の刊行形態が続き、僕もそれにすっかり慣れてきていたが、2024年、再び僕は大きなショックを受ける。
なんと、「ミステリマガジン」が季刊となってしまったからだ。
隔月刊でも感覚が長いと思っていたのに、季刊とは…。
今回、盟友「SFマガジン」は隔月刊のままにとどまったため、僚友2誌が毎月交互に発売されるというサイクルも崩れてしまった。
無念だ。
しかしまぁ、それでも仕方ないと僕は自分を納得させた。
前述の通り、雑誌業界は極めて厳しい状況にあるから、休刊にならなかっただけ良かったと思ったのだ。
そんな紆余曲折を経て辿り着いた、創刊70周年記念号。
だからやっぱり、とりわけ感慨深い。
今回の記念号は、本誌部分の企画は少なかった。
海外傑作短編の再録とミステリマガジンの年表程度にとどまり、記念コラムやエッセイなどはない。
大きな目玉は、本誌の後ろに綴じる形で収録された《特別付録》。
ミステリマガジンの1~773号に、掲載された短編の総目録だった。
この部分だけで別途に目次もついており、ページ数は300にも及んだ。
本誌が320ページで特別付録が300ページ。合わせると、こんなに分厚くなった。
まさに永久保存版の記念号だ!
と、言いたいところなのだけれど、僕はちょっとだけ引っかかった。
確かに短編総目録は凄いけれど、ちょっと前にも同じ企画があったはずと思ったからだ。
ということで、早速本棚で確認してみた。
60周年記念号(2016年7月号)に付録はなく、本誌部分も至っておとなしいものだった。
えっ?これが記念号?地味すぎじゃないか?
と思ったのだ。
しかしこれには大きな理由があった。
60周年記念号が出る2年前。
2014年にこんな記念号が出ていたからだ。
創刊700号記念の超特大号。
この時、《永久保存版!特別付録》として、ミステリマガジン1~700号の掲載短編総目録が掲載されていた。
当時僕はその凄さに感服したが、それは、初めての企画でしかも700号という区切りに合わせたものだったから意味があったように思う。
しかし今回は、それに73号分を上乗せしただけ。
800号記念の時にやるならまだしも、なぜ今…?という印象を抱いた。
ただ、「ミステリマガジン」刊行サイクルの件と合わせて考えてみると、「なぜ今…?」の理由も見えてきた。
700号記念の特大号が出てから、今年で12年も経っている。
現在「ミステリマガジン」は774号だが、年に4回しか発売されないため、800号を迎えるのは、さらに6年以上先…2032年の11月になってしまうのだ。
今後ますます雑誌を取り巻く状況は厳しくなるはずだから、今回のような大きな節目を活用して、資料を更新するのも悪くないのかと思えてきた。
もしも「ミステリマガジン」が、700号以降もずっと月刊で発売されていたら、2022年には800号が出ており、2031年には900号、2039年には1000号を迎えていたのになぁ…と思うと、ちょっと寂しくなるけれど。

*1:偶数月の25日がSFマガジン、奇数月の25日がミステリマガジンの発売日となった。
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