僕は、基本的に「紙の本」を愛している。
電子書籍は、とても手軽で便利に本が読めるけれど、愛情は抱かない。
だから、「紙の本」と電子書籍が同じ値段だったら、僕は基本的に紙を選ぶ。
いや、たとえ電子書籍版が半額になっていても、まだ、紙を選ぶかもしれない。
それぐらい、僕は「紙の本」に魅力を感じている。
ただ…「紙の本」には弱点もある。
それは、コンテンツのボリュームが増えてくると、取り扱いが厄介になること。
コンテンツ量が多ければ、当然、本のページ数も増え、膨大なものになる。
そのぶん、ぶ厚くなったり、分冊になったりして扱いにくくなるのが、「紙の本」の泣き所だ。
しかし、電子書籍は違う。
物理的な制約を受けないという点で、紙の本を大きく凌駕している。
ふと、そんなことを思ったのは、昨日、このエントリーを書いたからだ。
村上春樹の新刊エッセイ「村上T 僕の愛したTシャツたち 」。
これは、まさに、《紙の本》で読むべき魅力が溢れている。
電子書籍版も配信されているけれど、本の体裁も凝っているし、写真の美しさを味わうためには、やっぱり、《紙の本》がいい。
しかし、逆に、「絶対に電子書籍版がおススメ」という村上春樹本がある。
それが…
「村上さんのところ コンプリート版」だ。
これは、期間限定Webサイト「村上さんのところ」に寄せられた37,465通の質問・相談メールに、村上春樹が3か月半にわたって続けた回答集。
《紙の本》である新潮文庫バージョンは、473通の抜粋掲載となっていたが、電子書籍版は、それを全くカットせず、紙の本の約8倍(!)となる、3,716問のQ&Aを掲載。
Web掲載時と同様のスタイルで、収録している。
だから、この本に関しては、圧倒的に電子版がオススメだ。
ただ、熱狂的な村上春樹ファンでも、意外と、この電子書籍版を読んでいない人がいる。
その理由は、「紙の本を購入したからいらない」「紙の本のボリュームで十分」ということなのかもしれない。
しかし、この電子書籍版は、ボリュームのみならず、文庫版とは全く性格が異なる本なので、たとえ紙の本を読んでいたとしても購入する価値がある。
今回はそれを力説したい。
- 文庫本8倍のコンテンツを気軽に持ち歩ける!
- 値付け違い?かと思うほどお得なamazon Kindle版
- テーマ別に読み進めることが可能。
- 関連する話題にジャンプできる。
- 英語の勉強にもなる!
- 電子版限定の、特別エッセイが読める!
- さまざまなデバイスで、並行して読むことができる。
文庫本8倍のコンテンツを気軽に持ち歩ける!
なんと言っても、特筆すべきは、これ。
新潮文庫版は、634ページという分厚い本。だから、その8倍のボリュームを「紙」で、気軽に持ち歩くのは、一苦労。(というか、まず無理)
しかし、電子書籍版ならば、何の問題もない。
普段使っているスマートフォンのKindleにダウンロードすれば、スペース的な制約はゼロ。
それなのに、読んでも読んでも読み終わらない。これは至福の読書体験だ。
値付け違い?かと思うほどお得なamazon Kindle版
電子書籍版は、Kindle版以外のものだと2,200円程度で、文庫版(924円)の2倍強という値付け。
コンテンツのボリューム比を考えると、それでもお得だが、とりわけKindle版は、破格。
なんと、文庫版より安いという異常現象が発生している。
これは、約8ヶ月前に書いたエントリーなのだけれど、この状況は未だに変わらない。
amazonのKindle版だけが、他の電子書籍サイトより、異常に安いのだ。
1年前に比べて18円だけ値上がりしているけれど、それでも878円。
僕は、値付けが間違っているんじゃないかと疑っているほど。
テーマ別に読み進めることが可能。
これは電子書籍版ならではの大きな魅力。
文庫版は、厳選された473通の質問が、時系列で並んでいるだけなのだけれど、電子書籍版では、時系列目次の他に、テーマ別の目次も用意されており、質問のテーマ毎にまとめて読むことができる。
いやはやこれは便利だ。
関連する話題にジャンプできる。
コンテンツ内リンクが各所に貼られていて、関連する話題について、ジャンプしながら読むことができる。
「あぁ、この質問は、以前書かれていた、あの質問と繋がっているのか」「この質問から、こんな風に展開していったのか。」ということがすぐわかり、とても便利。
これはまさに、電子書籍版ならではの、大きな魅力だ。
英語の勉強にもなる!
文庫版ではカットされてしまった英語でのQ&Aが掲載されている。
村上春樹先生は、わかりやすく平易な英語で真摯に回答されているので、とても勉強になる。
テーマ別目次からジャンプすれば、英語のやりとりだけを集中的に読むこともできる。
電子版限定の、特別エッセイが読める!
「村上春樹の近況報告」という形で、ところどころに、軽いエッセイが掲載されている。
しかもカラー写真がついていたりするからたまらない。
文庫版には、エッセイが載っていないため、これはとても大きな魅力だ。
さまざまなデバイスで、並行して読むことができる。
Kindleでは、同じ書籍を5台までの端末で並行して読むことが可能なので、複数のスマホを運用している際は、とても便利。
この本は、膨大なボリュームがあるけれど、基本はQ&A形式なので、どんなページからでも読むことができる。
しおりをつけたりすることもできるし、デバイス間で共有できるので、「つまみ読み」も自由自在。
それを生かせるのは、まさに、電子書籍版ならではの魅力と言っていい。
いやぁ、とにかく最高だ。