予告編を見た時から、気になっていた映画だった。
あの「シックスセンス」のシャマラン監督最新作、「OLD/オールド」だ。
物語の設定は、実にシンプル。
予告編を見るだけで、この映画のエッセンスはすべて理解できると言ってもいい。
とあるプライベートビーチに集まった家族たちが、「時の流れが急速に進む」という超常現象に巻き込まれる。その運命は如何に。
…というだけの話なのだけれど、これがとてつもなくスリリングで、僕はぐいぐい引き込まれてしまった。
母親がちょっと目を離した隙に、6歳だった少年が、青年に成長。
そのビーチでは、30分で1年分の歳をとってしまうのだ。
子供は大人に、大人は老人になっていく。
家族たちは、そのビーチから逃げだそうと、さまざまな方法で脱出を試みるが…。
物語が進むごとに、僕は、切なさがこみ上げてきた。
30分で1年分の歳をとるということは、丸1日で、48歳も加齢してしまうということだ。
いやはや、想像しただけで恐ろしい。
抜け出す策を考えようにも、あまりに時間がなさ過ぎる。
美しいビーチで、救いようのない結末を迎えるのかと、僕は憂鬱な気分になったほどだ。
何回かの暗転の後、物語は、衝撃的な展開に切り替わった。
僕は、「そういうことだったのか!」と思うとともに、理不尽な気持ちも抱いた。
…が、そこからもう一捻りあって、鮮やかな着地となる。
そんな謎解きスリラーとしての魅力もさることながら、家族を巡る物語にもなっているのが素晴らしい。
これは、シャマラン会心の作品と言っていいのではないか。
よくよく考えると、ツッコミどころもある。
一番大きな疑問は、子供が急速に大人になったとしても、脳は子供のままではないのだろうかということ。
6歳の子供が、わずか1日の間に、○○を作ったり、大人並みの思考能力や身体能力を身につけてしまうというのは、ちょっと腑に落ちない。
ただそれは、映画を見終わってから感じたことであり、上映中は、そんなことにも気がつかず、超常現象に息を吞んでいた。
2時間弱の上映時間ではあるが、映画の舞台となるビーチ時間では4年分になる。
僕は、劇場を出るとき、歳をとっていなくて良かったなぁとホッとしたw
オススメ。
気に入ったので、パンフレットも購入。
特殊な設定の映画だけに、裏話的な要素が読めるかなぁと思っていたが、キャストの紹介が中心で、内容はちょっと薄め。
これで880円もするのは、ちょっと高いなぁと思ったが…。
シャマラン監督のインタビューは読み応えがあったので、シャマラー(って言うのか?)には、嬉しい内容になっているかもしれない。