東京マラソン翌日。僕の脚は、ひどい筋肉痛に襲われていた。
以前は、レースの翌日でも乳酸抜きのために軽くジョグなどをするのが常だったのだけれど、ジョグどころか、歩くのもやっとの状態。
それはそうだろう。
最近の僕は、アクシデント続きで、レースはおろか*1ロングラン練習もできていないままのフルマラソン出場。
そのダメージが残るのは、いわば必然とも言えた。
しかし。
退勤時刻を知らせるチャイムが鳴ると、僕は、脚が急に軽くなった気がした。なぜか。
答えは簡単。その日僕は、以前から心待ちにしていた餃子イベントに、参加することとなっていたからだ。
イベントの名は、「珉珉(みんみん)で餃子の日を祝う会」
そう。
この日、2月26日は「つつむ」で餃子の日。
そんな餃子の日を赤坂の「珉珉」で祝おう!という会が企画されていたのだ。
餃子の日を祝う会、というだけでも嬉しいのに、それが、都内屈指の餃子名店、「珉珉」で開催となれば、どんな身体であろうと行くに決まっているし、俄然、元気も沸く。
僕は、久しぶりに、あのすばらしい餃子を味わえると思うと、胸が躍った。
ということで、僕は、気がつけばあっという間にここへ佇んでいた。
僕は、店の前で写真を撮りながら、参加できるようになった喜びを噛みしめた。
もし、骨折をした直後だったら、僕はこのイベント参加を諦める必要があった。
ギプス状態だった時は、左手でまともに食器を持つことさえできなかったからだ。
しかし、先週の整形外科でギプスを外してもらってからは、世界が変わった。
まだ、手首を曲げると少し痛むが、固定していれば全く問題ない。
固定器具も、こんな感じの簡易なサポーターなので、ギプス時代に比べて断然自由度が高まった。
だから僕は、ついに、外食もできるようになったのだ。嬉しい。
しかも、そんな復活の時に、「珉珉」で餃子が食べられるなんて!
東京マラソンも、何とか楽しく完走することができたから、個人的には、まさに、餃子で打ち上げ!というタイミングで、まさに最高の気分だった。
いざ、入店。
月曜の夜だというのに、カウンター席も含めて店は予約でいっぱい。
流石は超人気店であることを感じさせた。
僕は、店員から店の奥だと言われた、予約席に向かう。
開始10分前ではあったが、この会の主宰者である餃子王、東京餃子通信の塚田編集長をはじめ、数人が既に到着していた。
それからしばらくすると、三々五々、メンバーが集まってくる。
そして。いよいよ会が始まった。
いざ、乾杯!
なんということもない写真に見えるかもしれないけれど、僕にとっては、とても感慨深い。
左手でグラスを持ちながら、右手で写真が撮れる!
そんな当たり前のことが、ここ最近はできなかったので、本当に嬉しかった。
その後、遅れていたメンバーが到着するたびに、僕らは乾杯を繰り返し、そのたびに、僕も写真をとって、喜びを噛みしめた。
あぁ、左手が普通に使えるって、なんて素晴らしいことなんだろう。
この日は、乾杯の瞬間以外にも、左手の復活を感じる瞬間が沢山あった。
例えば、この前菜。
これは、店員から、ぐちゃぐちゃにかき混ぜることを指示される。それが、「珉珉流」の食べ方だからだ。
僕は、その儀式に慣れていたため、かき混ぜる役を担った。
右手でぐちゃぐちゃにかき混ぜるためには、左手でしっかりと皿を押さえておく必要がある。
だから、左手の自由が効かない状態では、できない動作。
しかし、この日の僕にとっては全く問題なく…。
しっかりと混ざった。
最初の写真とは似ても似つかぬものになってしまったが、いやはや、これが実に旨いのだ。
ピータン豆腐。
普通にこのまま食べても美味しいような気がするが、これも、ぐちゃぐちゃにして食べるように指示される。
ということで、このかき混ぜ儀式も僕が担った。
儀式、終了。
もはや原型は影も形もない。しかし、このぐらいまでミックスするのが、「珉珉流」だし、そして、それが最高に美味しいのである。
乾杯シーンの撮影、そして、かき混ぜ儀式ができることになった喜びを噛みしめ、メンバーたちとの話に盛り上がっていると…。
いよいよ主役がやってきた。
*1:大阪マラソン以降3ヶ月ぶり。昨秋以降、水戸黄門漫遊マラソン、フロストバイトロードレース、別府大分毎日マラソンを欠場