三省堂書店は、今年で創業140周年を迎える、出版界の老舗だ。
東京屈指の「本の街」神田神保町には、そんな三省堂書店の神保町本店*1がそびえ立っている。
先週、そんな老舗中の老舗が営業終了というニュースを知り、僕は大きな衝撃を受けた。
あぁ、こんなところにもコロナの影響が…と思い、一瞬憂鬱な気分になったが、そうではなかった。
この度、株式会社三省堂書店は、本社・本店ビル(東京都千代田区神田神保町一丁目1番。隣接する第2・第3アネックスビルを含め敷地面積合計1745.88㎡)を建替えることと致しました。
現社屋は、1981年3 月に創業100周年記念事業として竣工致しました。その後、長きにわたり神保町本店(旧・神田本店)として、多くのお客様にご愛顧を頂いて参りましたが、建設から約40 年が経過し建物設備の老朽化が進んだことから、建て替えを決定致しました。
どうやら、ビル建て替えによる営業終了とのことだ。
神保町本店の社屋は、創業100周年の記念事業として竣工されたということだから、今年で40年。
建物設備の老朽化に伴う建て替えらしいので、心配はいらないのだけれど、新社屋の竣工は2025~2026年予定ということだから、まだ4年も先。
それが僕にはちょっと気になる。
オンライン書店の躍進と、電子書籍の台頭を受けて、「紙の本を書店で買う」という行動は、年々減りつつある。
書店の数は年々減る一方だ。
もちろん、三省堂書店は《別格》だから、心配する必要などないのかもしれない。
4年後も、神田神保町の書店街が輝いているように、そしてその中で、あらたな希望の光になるような、華麗なる復活を望みたい。
三省堂書店神保町本店に、僕はこれまで数多く訪れているが、とりわけ印象に残っていることが2つある。
1つめは、今を去ること15年前。
まだ、「神保町本店」ではなく、「神田本店」という店名だった時、筒井康隆先生のサイン会で訪れた。
このイベントは、写真撮影禁止だったし、iPhoneもまだなかった時代なので、エントリーにも写真がなく、ちょっと寂しい。
ただ、僕は大いに感動したことを今でも鮮明に覚えている。
そしてもうひとつは、去年。
村上春樹先生の新刊「一人称単数」早朝特設販売を受けて、訪れたことを思い出す。
このときは、店員さんから《何でも撮ってOK》という許可をいただいたので、僕は、多くの写真をエントリーに残している。
ただ、折角の早朝イベント販売だったというのに、僕以外の人が全くいなかったというのは衝撃だった。
その日は雨も降っていたし、村上春樹先生ブームも、一頃ほどは盛り上がっていないという理由もあったろう。
それにしても…。
ガラガラの店内を見て、僕は、書店の未来に少し不安を抱いてしまった。
最近は、コロナ禍に伴い、各種イベントの実施さえも難しくなっているのが現状。
オンライントークショーや、WEBサイン会といった形の移行も多くなっている。
そんな中、三省堂書店のような大型書店は、どういう形で、その魅力を打ち出していくのだろうか。
4年後には、流石にコロナ禍はおさまっているだろうが、コロナ以降の新しい生活様式に、出版業界はどのように対処し、生き残っていくのだろう。
それが僕には大いに気になる。
新たな建物には、本の街・神田神保町にふさわしく、今後も多くのお客様に愛される新・神保町本店を検討して参ります。
復活の日が楽しみだ。
(2020年7月撮影)
*1:2006年までは神田本店となっていたが、2007年から店名変更。