この日訪れるまで、僕は全くノーマークだった。
店の名は、「鉄板 俣野也(またのや)」。
関内駅や横浜スタジアムから、歩いて10分の場所に、その店は、ひっそりと存在していた。
横浜市営地下鉄の伊勢佐木長者町駅からは、歩いて1分の場所にあるのだけれど、裏道にあるため、目立たない。
しかし、それでも結構地元の人で賑わっていたのは、美味しさの証拠だろう。
僕は、この店で「もんじゃ焼きを食べよう」と誘われ、訪れた。
《鉄板》俣野也を名乗るだけあり、この店は、もんじゃ焼き・お好み焼きの店だ。
だから僕らも、もちろん、もんじゃ焼きを堪能した。
香ばしい紫蘇と豚肉が絶妙にマッチする、しそ豚もんじゃ。
たっぷりのニンニクで強烈なパンチ力を放つ、スタミナもんじゃ。
チーズ、ベーコン、トマトで、ピザのような味わい。洋風屋さんもんじゃ。
三種三様で、とても美味しかった。
もんじゃ焼きの大きな魅力は、目の前の鉄板で、自ら焼いて楽しめること。
焼けていく情景を眺めながら…そして、少しずつ食べていくのが、もんじゃ焼きの大きな魅力だ。
ただ、この店のポイントは、「もんじゃ焼き」や「お好み焼き」だけではない。
もうひとつ、大きな看板メニューがある。
スタッフ一押しの「鉄板ギョーザ」だ。
この店は、餃子専門店ではないため、そんなに期待してはいなかったのだけれど、それは、いい意味で裏切られた。
「鉄板ギョーザ」は蒸した状態で、僕らのテーブルに運ばれてきた。
焼き色はなく、それは、目の前の鉄板を使って、自分でつける仕組みになっているようだ。
早速、並べてみる。
ただ、鉄板の上に置いただけなのだけれど、僕は、それを眺めていると、ちょっとワクワクしてきた。
途中で、1個だけひっくり返してみると、薄い焼き色がついていた。
中身は蒸してあるので、これでも十分食べられる筈。
しかし僕は、もっと、濃いめの焼き色が好みなので、もう少し我慢してみる。
そして…。
こんがり焼けた!
カリカリ感が伝わってくる、いかにも美味しそうな焼き色ではないか。
僕は、早速それを鉄板から取って、囓ってみる。
旨いぞ!
僕は思わず唸ってしまった。とってもジューシーで、仄かに甘く、何もつけなくても十分に美味しい。
皮のカリカリ感も申し分なく、僕は、大いに満足した。
もんじゃ焼きやのサイドメニューではあるが、十分、メイン料理として成り立つ餃子だ。
この日、僕は、もんじゃ焼きをかなり食べてしまったため、お腹に余裕がなかったのだけれど、今度は、この焼餃子メインで、餃ビーを堪能してみたい。